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大神 (7/15)
六犬士/八犬士

「温泉!」
「お、オイラ達はいいよな…っと、里見の印籠が反応しやがった。行くぜアマ公!」

わう!とアマテラスが一鳴きして温泉の奥へと走って行ってしまった。
イザナギ村をでて、妖怪が化けた老夫婦が捕まえていたスズメのお宿のお嬢さん。その娘に連れられてやってきた笹部卿。
しかしその笹部卿は行方不明になっていた娘が戻るまで厳戒態勢でいたのだが、助けた娘さんが事情を説明してくれてお礼を色々としてもらい、温泉でもと案内されたら今度は温泉が止まっているというトラブル。
これまた大変だとなっていると、名前とは初対面の竹取翁がやって来てアマテラスと一緒に温泉を復活させたのだ。
名前が温泉に感動して目を輝かせていると、フセ姫から預けられた印籠が名前の懐から飛び出して行くとそれを追ってアマテラスとイッスンは逃げてしまった。

「お嬢さん、ワンちゃんの飼い主さん?」
「あ、いえ…そうではないんですが…えっと」
「あ、わし?竹取翁っていうの、よろしくね」
「はい、名前です」
「そう名前さん。都だとそういうの流行っているの?都会の人は違うよねぇ」
「え、あ…どうなんでしょう…」
「都かぁ…はあ」
「………?」
「あ、ごめんね。ちょっとね。あのワンちゃん、お利口さんだねぇ驚いちゃったよ」
「本当にお利口ですよね…」
「ふふふ、お嬢さんのワンちゃんでしょ?」

変な娘さんだねぇ、ふふふ。と和やかに笑う竹取翁と困った様子の名前。
アマテラスたちは八犬士を見つけに行ってどのくらいかかるのかわからないし、温泉に浸かるには少々時間が読めない。
なので竹取翁に「一緒に足湯でも」と進めて並んで座った。
すると「ワシにはカグヤって娘がいるの」「とっても可愛いの」「でも都で捕まってしまって…ううう」となんとも重い話をされてしまい、またまた困惑してしまった。

「おう名前姉、爺と並んで足湯かよ!」
「イッスン、アマテラス。八犬士いた?」

わうん!と尾を振り、名前の横に座るアマテラス。
どうやら一仕事を終えたのだといわんばかりの姿勢だ。それをみて名前がアマテラスの頭を撫でると何とも気持ちよさげにして目を細めた。

「ふふふ、ワンちゃんはお嬢さんが好きなんだね」
「懐いているっつーか、コイツが人を嫌うのは見たことねえな」
「確かに。誰にでも仲良しだもんね、アマテラス」
「でも一番はお嬢さんみたいだね」

そうだろうか。と名前とイッスンが目を合わせて一緒に頭を傾げる。
正直この一匹と二人…と言っていいのかわからないが、三体は付き合いが長いとも短いともいえない。お互いの初日から一緒に居るだけであって、別段仲良しというわけでない。
名前は行くあても頼る存在もないからお情けで一緒に居させてもらっているような感覚だ。

「ほら、次行くぜ次!チンタラしてたら赤カブトが起きちまう!」
「ほや、もう行っちゃうの?大変だねぇ…ワシは竹を取ってからいくから、またね」
「はい、またいつか」
「気を付けるんだよ〜」

温泉から足をだして、出る準備を急いでする。
本当ならば温泉にゆっくりつかりたいのだが、そうもいかないのが悲しいところ。いつかここの温泉につかりに来なければと一人で心に決めた名前。
スズメが切り盛りしている温泉だなんて、夢があふれているのだ。
それに娘さんを助けたご縁でいつでも来て良いと名前にまで行ってくれたのだから、これはいつか言葉に甘えなければならない。

「はー名前姉は温泉が好きなのか?」
「気持ちいいじゃない。今度絶対来よう!肩までつかりたい!」
「へえ…」
「なによう」
「別に…」
「アマテラスも今度温泉入ろうね!」

わうわう!と何とも元気な声で答えるアマテラス。
イッスンとは逆に温泉に入るのは嫌ではないらしい。小さくて名前の目には見えないが、イッスンだけは恐らく嫌な顔をしていたに違いない。

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