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|||マスターの隣

※@周年企画!(2016)から続いています。


「何故名前様はご自身のサーヴァント以外にも従えているのです?1騎では心もとないからですか?」
「元々ここで直接召喚できたのはキャスターのクーだけで、他のサーヴァントは先輩から譲ってもらったっていうか…預けられたっていうのか…」


ファラオから名前様のお相手を命じられました。とニトクリスがばばーんと登場してから数分。時計を見れば休憩の時間だと思い名前はニトクリスを誘ってお茶休憩を取っている。
給仕は苦手そうなニトクリスに名前は「お茶の練習をしているのだけど、付き合ってくれない?」と言うと、ニトクリスも「よろこんでお付き合いします」とニコニコしてくれた。
そして出た話題。後から来たにとっては名前という存在は不確定なマスターという印象がもしかしたら強いのかもしれない。
マスターでありながら英霊の召喚を行う様子もない、だからと言って一般スタッフではない、クーフーリン・オルタは名前の言う事は一応聞く。という不思議な存在なのは確かだろう。

「10年前、冬木…私が住んでいたところで聖杯戦争という魔術の儀式があって、それに遊び半分でいたずらをしたらディルが召喚できて…」
「あの緑のランサーですね」
「うん…それから、色々あって………大人になって、また聖杯戦争に協力してくれって言われて、10年前の清算ができるなかっなっていう理由で、また軽い気持ちで参加して。その時のサーヴァントがキャスターのクー。冬木では消えてしまって、ここに保護してもらって、唯一召喚できたのがさっきも言ったクーなの」
「緑のランサーが名前様に従う理由は理解できますが、他のサーヴァントは」
「ハサンは、私じゃない私に10年前召喚されて。他のクーは先輩が『名前さんはクーフーリンがいいですよね』って理由。エミヤは……色々あって」

ゆらりゆらりとゆっくりゆらめく湯気。
名前が話す度にそのゆらめきはフッと途切れ、そしてまた揺らめく。
名前とエミヤの関係はその二人を除いてクーフーリンしか知らない。オルタはクーフーリンであって違う存在であり、また説明を求めていないので恐らく知ることはないだろう。ディルムッドもハサンもただ単に仲間であるという認識のみで名前との関係は単純に主従であり、それ以外にないと思っているに違いない。

「それで、誰が一番なのです」
「……いち、ばん?」
「はい」
「なにが?」
「名前様はマスターでいらっしゃいますので、名前様の一番のサーヴァントです」
「一番の、」
「サーヴァント、です」
「んー…そんなこと考えてみた事もなかったから」

そもそも一番とは。という疑問が名前に浮かんだが、恐らくニトクリスにはそれ程深い意味はないのだろう。いえば後宮の女の誰が気に入っている?とか、その位の認識だろう。もしくはお気に入りの家臣は誰だという。

「そりゃあ俺だろうよ。なんといっても唯一名前の直接召喚だ」
「それだけじゃ心配だって俺が来たんじゃねえ?」
「同じ顔じゃ芸がないって事だろ?」
「このメンバーで名前の身の安全が保証できんからな」
「そこは騎士としてかつての主に槍を捧げる覚悟、というのでしょうか」
「護衛の任であれば我らが適任なのは明白。各個分野が違う故」
「邪魔な奴は殺せばいいだろ」
「どこから湧いて出たのです!?」

驚いたのかニトクリスはガチャンとティーカップを落とし、あわあわと焦る。
それをさすがと褒めたくなるほど流れる仕草でエミヤがテーブルを拭き、温かな紅茶が新たに注がれるではないか。その一連の動きにニトクリスは呆気にとられ、そしてはハッとする。

「さ、さすが名前様のサーヴァントです」
「お褒めに預かり光栄だ」
「で、なんでファラオのねーちゃんが名前と一緒なんだ?珍しいな。キャスターでも増やすつもりか?」
「なんという無礼!私から助言させていただくなら名前様、この様な無礼なサーヴァントとは契約をお切りした方がよろしいかと」
「プロト、ニトクリスに変な事言わないの」
「名前様!ファラオの養女でなければ八つ裂きにしていたところですよ。まったく」
「名前を八つ裂き?ほう、面白い。名前、これを殺していいな」
「駄目です。言葉の綾というやつで、ニトクリスは私に注意してくれたの」
「名前を殺そうとする奴は殺す、それでいいだろ」
「不服だが狂王、我らも賛同する。綾であっても名前様を害するならば死を持って償ってもらおうか」
「なんと!なんと血気盛んなのでしょう!それでも名前様のお命を預かるサーヴァントなのでしょうか」
「そうだな」
「そうだな」
「そうだな」
「煽る君が悪いな」
「左様ですね」
「やられる前にやってしまえば問題はない」

多勢に無勢とはこの事だろう。
名前もニトクリスに助け船を出すべきだと思うが、こうも体制が大勢になってしまったので火に油だと判断した。
理性的なエミヤやディルも名前に対して「八つ裂き」という言葉をスルーする事は出来なかったらしい。比較的女性に対しては丁寧な物腰である2騎だが表情があまりよろしくない。
自分を思ってくれるのは大変ありがたい事だとは思うが、ここまでくると名前も正直度を越しているというのは理解できる。

「な、なななな!!!」
「お?やるか?やるか?」
「同じクラスだが問題なかろう、相手になるぞ」
「煽らない!ニトクリス、ごめんなさい。こら、エミヤとディルまで武器握らな…バーサーカー!ハサン、気配消さないの!!相性的にハサン不利だから!」

本当にニトクリスVS名前と契約しているサーヴァントの図が出来上がってしまった。
それには名前もさすがに笑ってどうにか済ませようとするには遅いと察し、とにかく「駄目、やめて落ち着いて」と立ち上がる。

「あっ!」
「あーあ、何してんだよ名前」
「ごめ…」

ガチャン。とカップが落ちて綺麗に割れてしまった。幸い紅茶は飲み干していたので被害は少ないが、急いで片付ける。

「ケンカはストップ…じゃなくて、お終い、終了です。もう、折角ニトクリスとお茶していたのに」
「そ、そうです!私と名前様が楽しくお話をしていたのになんという事でしょう。名前様、お怪我をなさっては大変です。そこの赤いアーチャー、片付けを命じます」
「さらっと人のサーヴァント使ってるぜあのキャスター」
「そして当然の様に片付けてるエミヤの図、だな」
「!あ、いや、これは」
「んでよ、名前は誰が一番なんだよ」
「…え?あ、エミヤいいよ、私がやるから」
「事の発端はそのネーチャンが言った名前の一番は誰かって話だ」
「そ、そんな事でファラオである私にケンカを!?」
「まあそこは当然冬木からの契約がある俺だろうな」
「クーフーリンと言えばランサーの俺だろ」
「若い方が何かといいだろ」
「口にすることもないだろう。名前とは一番付き合いが長いのでね」
「それでしたら俺も主とは10年前にも契約を」
「我らとて。それこそ第4次聖杯戦争よりも前から主従をしていた、名前様が覚えておらずともな」
「細かい事はいい、コイツら全部殺せば同じ事」

名前が「また始まった」と呆れる中、それとは反対にニトクリスは「な、なんと私の軽率なひと言で名前様のサーヴァントの仲たがいが…!」と顔色を悪くしている。
名前にしてみれば何かといがみ合うのは比較的日常に近いもので今に始まった事ではない。むしろ最近いがみ合いが無くて平和、と思っていた。
特にバーサーカーと他のサーヴァントがあまりよくない。ただサーヴァントも子供ではないので大事にまでは発展しない、という注釈がつくのだが。

「………、もう!ケンカするサーヴァントは嫌いですー!!」
「名前様!?」
「誰が一番とか馬鹿みたい!ニトクリス、行こう」
「ちょ、」
「仲間同士で誰が一番とか」
「おーい?」
「案外英霊って器が小さいのね」

阿呆らしい。と今まで一番冷たい声色で名前は言い放つ。いつもの様な穏やかな顔ではなく、それこそ今まで見た事がない、言えばセイバーオルタのよな表情で。
そのまま名前はニトクリスを連れてどこかへ姿を消すが、あまりの名前の変容ぶりにサーヴァントは固まったまま。
え、今のが名前?
まじで?
名前って怒るとあんなふうになるのか?
今までの怒ったのは序の口?
と今までとは打って変わって相談を始める。

「今の名前…いいな、俺結構好みだわ」
「俺も」
「同じと言いたくはないが同感だ」
「姉さん…」
「姉さん?」
「あ、いや」
「おいバーサーカー、どこへ行く」
「名前の所だが」
「名前様は今ご立腹の様子、今行っても余計に」
「だからなんだ」
「お前のそういうところいいよな…気にしないところ」


「名前様、よろしいのですか?サーヴァントを」
「いいの。どうせあっちで私が怒ったって笑っているんだから」
「そ、そうなのですか?」

そ、そのような不敬はお父上であるファラオ・オジマンディアスに報告を!!とニトクリスが大声で宣言するとその後ろで「余に何用であるか」とオジマンディアスが返事をしてニトクリスが飛び上がっていた。



※ゆーり様
 fgo主で、彼女が受け持つ鯖たちが、彼女の一番の鯖の座を巡り戦いが勃発する。




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