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「#エロ」のBL小説を読む
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|||騎士王にそっくりな太陽

「アーサーとガウェインはそっくりね」

兄弟みたい。と名前が笑ったのが始まりだった。
そう言われたアーサーは甥とそっくりだと言われて少しばかり複雑ではあったし、ガウェインはガウェインで何とも言えない気分だったに違いない。

「で、マーリンはそのガウェインを連れてきて私に何の用かしら」
「辛辣だね名前。別にいいけど」
「いいんだ…」
「でね。ロマンと話をして君にガウェインのマスターになってもらおうと思ってね」
「名前、エミヤを呼ぼう」
「どうして?そこはメイヴかオジマンディアスじゃないかな」
「……それもそうだね、どちらか呼ぼう」
「おっと私の息を止める気かい?そうだね、名前の所にはライダーがいないからオジマンディアスと契約した方が良いかもね。なんて言ったって君のお父上代わりなんだ」
「誤解です」

あれは勝手にオジマンディアスが言っているだけです。と拒否の姿勢を見せる。
あれからオジマンディアスは何かと名前を見つければ構い、自称父上は名前が嫌がろうと逃げようとそんな事はお構いなし。ニトクリスにまで「ファラオがお父上で何が不満なのです!不敬ですよ!あ、申し訳ありません名前さま」と叱られたのだかよく分からないことになっている。
そんな事になっているのを知っているのか知らないふりをしているのかはわからないがマーリンは「とにかくガウェインをよろしくね。名前さま!ははは」といって逃げて行った。

「発言をしても?」
「…どうぞ」
「マーリンとマスターから聞いておりましたが…王、なのですか」
「ああ。私もまたアーサー王と呼ばれる存在だ。私の知るガウェインなのに君は私を知らないのか……」
「申し訳ありません…」
「それでガウェインは名前の所に来ることに?」
「はい。それはもしもの為、と伺っています。王がお二人になり、ならば騎士も何名かはその名前に付くべきだとマーリンが」
「マーリンが…」
「マーリンか…」
「どうかなさいましたか」

二人は同じように溜息をつき、そして目線だけで会話する。こんな事でいちいち念話など使う事もない。
とりあえず、今の名前とアーサーの間では「またマーリンか」という半分迷惑で仕方がないという心情で一杯なのだ。





名前が精一杯悩んだ結果、ドクターからも先輩からも要請が出ているので連続してだがセイバークラスと契約することにした。
いつもの様に血を使って、皆に報告をして、キャスターのクーに手当をしてもらういつもの流れで。

「どうしてセイバークラスのサーヴァントなんだ」
「それは…私に言われても…」
「俺らの天敵じゃねえか」
「敵じゃないさ、私たちは仲間なんだ」
「良かったな、ランサー諸君。アーサーは仲間意識を持ってくれているぞ」
「エミヤ、そんなに突っかからない」
「名前様、オジマンディアスとは契約をなさらないのですか?セイバークラスよりも利があると思うのですが」
「アレは名前を契約するつもりは最初からないが」
「あ?そうなのか?名前にちょっかい出すから契約する気なんだとばかり」
「私も本人から聞いたけど、父親が何故子の下に付かねばならんのだっと言っていたよ」
「…アレ本気なのかよ」
「どうせなら女のセイバーにしろよ名前」
「私がスカウトしたんじゃないんだけど!」

落ち着いてください主。と言われても、何一つ非がない名前にしてみればその非難が気にくわない。私何も悪いことしてないのになんでこんなに言われなきゃいけないのよ、と言いたいくらいには。
キャスターのクーが「俺あっちのマスターにお呼びかかってんだけど行っていいか?」と言えば、他のクー達が「お前だけずりいぞ!」と騒ぎが始まり、それをきっかけにガウェインのお披露目というのか、顔合わせは終わってしまった。


「王よ、彼女がマスターでいいのですか?」
「名前は良いマスターだよ。サーヴァントの癖は強いけど名前はそんなじゃない」
「そんなじゃないって…どういう意味でしょうか」
「悪口を言ったんじゃないよ名前。名前自身はとても魅力的な女性だよって」
「なんだか腑に落ちない」
「王に向かってなんです、その物言いは」
「ガウェイン。彼女が言えば君の王なのだから逆に私が言わせてもらうよ、主に向かってなんだその物言いは」
「っ、ですが」
「名前やここに慣れるまで名前と一緒に行動することをお勧めするよ。私もそうやって慣れた身の上だから」
「…ご命令と、あらば」
「命令じゃない、提案だ」
「………わかりました。不肖ガウェイン、主たる名前の護衛の任お受けいたします」

それからというもの、バーサーカーからアーサーそしてガウェインに名前のお供が代わった。
もともとバーサーカーも名前に常に付いているわけではなく最初だけだったし、アーサーも同じように名前の行動を見る程度くらいにしか付従う事はなかった。
それはここが安全であり、名前に危害を加えるものがないという確信を得たからである。
特にバーサーカーは名前を餌と見ている部分があったので余計に。

「あ、」
「ただいま戻りました。なにかご用ですか」
「……、今、ちょっといい?」

食堂の調理室の方から頭を覗かせてキョロキョロとしている名前を見つけたガウェイン。
あちらのマスターに呼ばれているとレイシフトで不在だったがちょうど戻ってきたところらしい。
名前は少し悩み、手招きをして調理室に招く。

「実はね、味見しすぎて味がわからなくなって…」
「珍しいですね。名前がそのような事になるなんて」
「調味料が足りなくて…試行錯誤したら……うん」
「何故私なのです?王も他のサーヴァントもいるでしょうに」
「他のお仕事があって……誰かいないかなって思ったらガウェインがいて。あ、忙しかったらね、いいの。そうしたらドクターとか、ダ・ヴィンチちゃんに」
「どれですか」
「え?」
「どれをお手伝いしたらいいのですか」
「いいの?」
「そのくらいは私にもできます」
「迷惑じゃ…ない?」
「貴女はそのような事を考えなくてもいいのです。それでどれです、私は何を味見をしたらよろしいのです」
「あ、あのね」

これなの。と差し出し、ガウェインはそれを黙って食す。味見なので多くの量はないが、それでも黙って食べ、そして頭を傾げる。
どうやら彼の口にも頭を傾げるくらいにはあまり美味しいものではないらしい。

「何が足りないかな」
「いえ、これの何がいけないのでしょう」
「え?」
「とても美味しいと思いますが」
「でも…なんていうか、パンチが足りないって言うか…味がぼんやりしてない?」
「料理とはそういうものでしょう?」
「……ガウェイン、ここに来て食事した?」
「いえ、サーヴァントである私達には食事は不要ですので」
「でも…トリスタンやランスロットは食べていたけど…?」
「趣向品ですから」
「…そう」
「はい」
「うーん、やっぱり不安だからドクターかダ・ヴィンチちゃんの所に行こうかな…」
「な、私の意見では信用に足らないと?」
「……言ったら悪いのだけれど、食事してない人に『まあいんじゃないですか』って言われてもまったくもって信用ならないというか…」
「………」
「あ、別にガウェインが悪いって言っているんじゃないの。だってガウェイン食事は趣向品だって思っているんだから仕方がないわ」

帰って来たばかりだったのにごめんね。と名前は謝る。
さて、ではこの味見をどうしようかなと名前は悩む。
ガウェインではちょっとアドバイスを受けるには違ったらしい。趣向品だという割り切り方をしているのだからそれはそれだし、名前もそれ以上に何か言う事もない。ただそうなると食事に誘えなくて寂しいなとは思うが。

「あ、黒髭さん。ちょっと味見をお願いしたいんだけど」
「拙者が?デュフフフフ…なんだが新婚さんのようでああああああ!!!?」
「失礼、手が滑りました」

再び名前が廊下できょろきょろとして通りかかった黒髭ことエドワード・ティーチに声を掛けるとガランティーンが黒髭と名前の間、ちょうど目線の所でその刀身をさらしているではないか。

「ガウェイン!!」
「味見は私が仰せつかった役目です」
「だ、だからって…」
「だあああ!だからイケメンは嫌いなんだよ!!ちびすけの癖に生意気!!拙者むかつく!!」
「では胃薬でも調合していただいたらどうか。ドクターも女史もいらっしゃる」
「名前たーんどう思うー?拙者悪いことしてないよねー??」
「うー…ん……悪い意味で真面目だよね。黒髭さん、ごめんね」
「名前たん天使…」
「その汚い手を離しなさい、貴殿が触れて良い存在ではありません」
「あ?んだとコラ」
「ガウェイン、そういうのは…」
「そもそも名前もなんなのです。私に命じておきながら、何故その男なのですか」
「え、わ、私!?」
「黒髭、その腕切り落とされたくなければ早々に立ち去れ。我がマスターは争いを好まない故の温情と心得よ」

ガウェイン!?という名前の焦った叫びにさすがに分が悪いと思ったのか黒髭はパッと名前の手を離して「名前たんの感謝しろよ、ばーか!太陽ゴリラー!!」と逃げていき、名前は名前でガウェインに「警戒心が足りません!!」と説教をされるはめになった。

※りんご様
 カルデアにガウェインが召喚されてaiph主の所にガウェインが仕える話




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