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|||生クリームとチョコレートと

「大きいケーキ!爆発するの?」
「しないよ!どこでそんな情報を仕入れた名前」
「ザップさん!この前ケーキ爆発したって言ってたから、ケーキは爆発物になったんでしょう?」
「クラウス…もう名前をザップ近づけるのやめた方がいいんじゃないか?」
「しかし名前の少ない友人の一人だ」
「言っておくが名前に友人は沢山いるぞ」
「そうなのか名前」
「んー、レティとサラとジャスミン、ティーラ、ナオミ、キャスパー、クリス、えっとそれから…」
「もういいよ名前」
「あとはー、ライブラのみんな!」

テーブルの前でニコニコと物騒な事を言ったと思ったら、狙ったかのようにほのぼのすることを言う。
言えば名前は予測がつかない、悪い言い方をすれば計算高いのではないと邪推してしまうような人間である。
記憶を失い内に籠るでもなく、前向きに生きようとする姿は特にK.Kの胸に響き、何かと名前を可愛がっているし名前の能力は疲れると言う事もあってあまりさせたがらないがそれでは仕事にならないと逆に名前がK.Kに文句を言うという何とも言えない珍事が起きた事もある。

「じゃあこのケーキは実はカチカチに硬いとか?」
「どうして君はそうやって面白展開に持って行こうとするんだ」
「え、ケーキってそういうものなんでしょう?」
「一応また聞いておくけど誰から聞いた」
「ザップさん!」
「お嬢様、ケーキはそんなものではありませんよ。ここで坊ちゃまとお食べになったものです」
「……ケーキって、本当に食べて平気なものでいいの?」

はい、もちろんですよ。とギルベルトがにこやかに答えれば名前は「ザップさん嘘ついた!」と怒り始める。
そもそもクラウスもスティーブンも名前が好きだとギルベルトが言っていたケーキを手配し、名前の為に用意していた。
それを見て開口一番「爆発する?」には呆れたがザップによってケーキは食べ物ではないという刷り込みがされていたらしい。
クラウスの屋敷で生活していた時はごく普通に楽しんでいたケーキはザップによって「それはケーキじゃねえ、ケーキってのはな……」と改変を受け、また名前は素直に「そ、そうなんだ…!」と真に受けていたのだから救いようがない。疑う事を知らないと言えばそうなのだが、それにしてもザップに関しては教育が必要な様だ。

「ザップさん酷い!スティーブンさんにちくってやる!」
「そのスティーブンさんは今君の目の前にいるぞ」
「スティーブンさん!ザップさんが!」
「嘘ついたんだな、よしわかった。後で制裁しておく」
「クラウスさん!」
「ああ、ザップには嘘はいけないと注意をしておこう」
「ギルベルトさん!」
「ええ、大丈夫ですよ」
「ぐぬー」

何故ケーキがあるのか、という疑問に行かない辺り名前である。
馬鹿にしているわけではないが、変に素直なのだ。自分の興味があるもの以外にはあまり興味がなく、しかし何かを示せばしっかりと興味を持つ。子供らしい部分があって、ごくたまに達観したような言動を取る。

「名前、どうして今日屋敷に招待されてスティーブンがいると思う?」
「………ドッキリ?」
「ザップか」
「昨日のテレビ」
「君がライブラに来て今日で1年、名前には誕生日が今までなかったから今日を誕生日にしようと思ってね」
「誕生日って勝手に決められるの?」
「本来は決められられないよ。でも名前は別だ、君には出自が不明だから勝手に今日にさせてもらったんだ」
「ねつぞう…」
「捏造…そんな難しい言葉を覚えたのか名前…」
「そこは感動するところじゃないぞクラウス!目を覚ませ」

イライラし始めるスティーブンとは反対にクラウスとギルベルトは感心というのだろうか、難しい言葉を使った名前を褒めている。
確かに難しい言葉を使ったが、それは間違いだ。
まず捏造だなんて言葉が悪い、悪すぎる。
誕生日を捏造したのではなく、これは仮にと勝手に決めたのだ。正式な書類に書くわけでもない、ただの仮に決めた誕生日。実際には名前の正確な年でさえ不明なのだから仮の誕生日なんて可愛いものだろう。

「私、何歳?」
「…………何歳、なのだろうか」
「年齢など関係ないのですよお嬢様」
「永遠の年齢不詳!」
「それが当てはまりそうだから恐いな…名前は」
「でもなんでライブラでやらないの?なんで?」
「だって君はクラウスの家族だろう?まず誕生日は家族で祝わないと」
「スティーブンさんは?ギルベルトさんはわかるけど」
「君はいちいちイライラする事を聞くな…」
「すまないスティーブン…」
「いや、いいんだけど…」
「名前、スティーブンも君を助けてくれた一人だからだよ」
「そっか!じゃあクラウスさんとスティーブンさんは私のお父さんとお母さん!ん?お父さんとお父さん?ギルベルトさんはおじいちゃんだね」
「私も入れてくださるのですか、お嬢様」
「うん!」

この何とも言えない、怒るに怒りきれない名前特有の性格のせいで色々と突っ込みたいが「まあいいか」となってしまうあたり人徳というのかなんというのか。
ケーキを美味しそうに頬張る姿でチャラにしてやるか、と思ってしまうのはクラウスばかりではない事にスティーブンは思い当たってしまい内心で少しだけへこんだ。

※春樹様
 BBBのHello!で、スティーブンやクラウスに甘やかされる話




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