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「#エロ」のBL小説を読む
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|||太陽の王様と狂った王様

しっかりと顎をその手に固定され、まじまじと観察されている。
その私を観察しているのはオジマンディアス。ギルガメッシュと同じくクー達には「面倒そうだから関わるなよ」と一言貰っていたサーヴァントである。

「ふむ」
「………」
「よく見ればまだ子供ではないか。親はどうした」
「え……」
「体だけは大人だがな。親はどうしたと聞いたのだ、答えよ」
「………両親は、私が幼い時に他界しましたが……」
「ふむ、そうか」

恐る恐る顎を掴んでいるオジマンディアスの手をペチペチと叩いてみるもまるで反応がない。
確かに人間対サーヴァントであれば圧倒的にサーヴァントが力も能力も上なのはエミヤからも口酸っぱく、耳にタコが出来るくらいに言われている。
私と契約しているサーヴァント以外とはあまりそういったコミュニケーションをとってはいけないともハサンにも言われていたし、その都度私だって「そんな子供じゃないし、そんなことするサーヴァントなんていな……あんまりいないよ」と笑っていたはずなのに。

「あの…?」
「親がいないとなれば話は別だ。庇護を受けるはずの土地を追われなんと痛々しい」
「………?」
「ならば親代わりになってやろう」
「は…!?」
「よいか、今から余はお前の父である。父上と呼ぶがいい!」

あまりの事に言葉を失う。と言う体験はこれが多分初めてだと思う。
今までに命を落としそうになったことも、絶望した事も、どうして冬木で一人生き残っているんだろうという疑問はあった。だからきっとそれ以上に驚くことも辛い事も、どんなこともないと思っていたのに、そのオジマンディアスの一言はそれらを軽く飛び越えるくらいの勢いで、まるで爆弾をプレゼントするかのように言ったくれた。

「…え?え??……え?」
「そうか、身に余る光栄に声もでないか」
「あ…いや、その」
「なに萎縮することはない。この小さな雛を野放しにしてやるほど余は非道ではない」
「ひ、雛…?」

ぴよぴよ。とひよこが頭の中を駆け巡るが、そんな場合じゃないとハッとする。
オジマンディアスがいったい何の話をしているのかはわからないが、顎の固定を解いてもらわないと話をするのも大変なのだ。
再度ペチペチと手を叩いて「は、はなしてください…」と言えば、「おお、そうであったな」と案外すんなりと解放してくれた。

「名前、何をしている」
「バーサーカー」
「お前が使役しているサーヴァントだな、クーフーリンの影のようなものか」
「……顎、赤くなっているがどうした」
「え…ああ、今ちょっと」
「なに、子の顔を見るのに少々な。父が子の顔を見るのは当然の事、少々手荒ではあったな、許せ」
「え…あ、は、はい…」
「子…?」
「うむ、現時点をもってその雛を我が子とし、父として雛を育てようと思ってな!」
「…………何をされた」
「わ、わからないけど…私のお父さんになるって、言われた」
「殺していいか」
「だめだよ!」
「血の気がさかんだな、主を守るは役目である。褒めてやろう!!」

はーはっはっはっは!!といういかにも高笑いらしい高笑いが廊下に響く。
私は正直いきなりの事で頭が混乱していて、いったい何が何だかわからない。そして唯一わかるのはバーサーカーのクーが不機嫌だと言う事。
前から「殺していいのか」という質問はよくされていた。でもそれはレイシフトがあった先での話であって、今の様な仲間に対しての言葉はなかった。
バーサーカーもちゃんと誰が仲間でどれが敵かを理解しているはずなのに。

「しかしそれでは雛は守れんぞ?なんといっても争い事が苦手なのだからな」
「……どう、して」
「当たり前だ。当たり前だろう、余を誰と心得る!ファラオ・オジマンディアス、建築王であるぞ!」
「…建築王、そこに必要…なの?」
「当たり前だ馬鹿者。崇められる一部の側面と言えど余である、子に父の偉業を教えるのもまた父としての役目だ」
「名前に父親なんぞ必要ない。名前だけあればいい」
「なんということか!お前の使役しているそれは何もわかっておらぬ!!父としてこれほど嘆かわしい事はないぞ!」
「殺す」
「だめだってば!」
「お前の魔力を狙う奴は敵だ」
「馬鹿な事を言うでない。余がいつ、その魔力を欲した。親は子を守るものであってその魔力を目的にするなどありえぬ」
「名前をマスターに貰おうっていう計算じゃないのか」
「何故守らねばならん雛をマスターとするのだ」

ふん。とさもバーサーカーを馬鹿にした様子で鼻で笑うオジマンディアス。
彼の言い分からすればバーサーカーの様に私の魔力を目当てに近づいたわけでない、というのはなんとなくわかった。
威嚇をするようにオジマンディアスと私の距離を保ち、そして睨むバーサーカーに小さな声で「落ち着いて」と腕を撫でる。

「そうだな、スフィンクスを1騎付けてやる」
「え」
「不要だ」
「常にそばに置くのも大変だろう、レイシフトの時だけではあるが」
「不要だと言っている」
「雛のサーヴァントであると大目にみているが、不敬であるぞ」
「知った事か」
「バーサーカー、落ち着いて。オジマンディアスも」
「父と呼べと言っておろうが」
「あれを父と呼ぶ必要はない」
「オジマンディアス、私は貴方を父と呼ぶつもりはありません。それにスフィンクスも必要ありません。私にはサーヴァントがいます、とても優秀です」
「………」
「………」
「な、なんで黙るの…?」
「ほう!これが世にいう反抗期というやつか!!そうかそうか」

余の子供はそのような時期がなくてな!と、いえば愉快そうにしている。
いやいやいや、そういう事ではなくて…と続けようとするとバーサーカーに「俺がいうのもおかしいが、話が通じないぞ、アレ」と顎でオジマンディアスをさす。

「逃げるぞ名前」
「え…ちょ、」

私よりも大きなバーサーカーはいとも簡単に私を抱きあげるとそのまま走り出すが、それを見つけてオジマンディアスも走る。
バーサーカーはバーサーカーで人間の私が耐えられる速度を保つので速い事は速いのだが、サーヴァントとしてはとても遅いのだろう。
後ろで「そうか、鬼事か!!よかろう、付き合ってやる!!」と勘違いしているオジマンディアスが高笑いをしてくるのでスピードと相成って恐いので誰か助けてくださいお願いします!!!!


※まりも様
 FGOのaiphでオジマンディアスが召喚されてオルタニキとの間に挟まれる




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