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「#エロ」のBL小説を読む
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|||おかえりなさいませ、

「あ、東堂くんと荒北くん。いらっしゃーい」

二人?今席まで案内するね。と名前は慣れた様子で二人を案内する。
福富、新開、名字は同じクラスなので文化祭のクラスの出し物も当然一緒だ。今年は最後の年と言う事もあり、やはり最終学年は力が入っている。ちなみにその三人のクラスは執事喫茶だ。

「名字ちゃん、他の二人はァ?」
「新開くんはそっちの女子のところ、福富くんはあっちの後輩」
「名字、ご主人様のお帰りだぞ」
「あ、そうだった」
「忘れていたのか…」
「おかえりなさいませ、ご休憩の御飲物はどういたしましょうか。今日のお勧めはこちらの一覧となっております」

それメイド喫茶のお堅い版じゃないノォ?と荒北が言えば、名前は人差し指を唇に当てて「しー」とポージングする。
名前だけではなく、このクラス全員がそのような喫茶店に行った事は無く、全員の想像で出来上がっているものだ。正解を知らないのだから仕方がない。そうやってこのクラス全員は割り切ることにしたのだ。

「食いモンはァ?」
「こちらです。本日はセットが人気の様です」
「セット?ああ、割引が聞くってやつか」
「んで、名字ちゃん質いつ休憩?時間合えば一緒にまわらなぁい?」
「あと30分後に休憩の予定です。福富と新開は15分後の予定です」
「ではそれまで邪魔させてもらおう」
「オレこれねぇ」
「ではオレはこれを頼もう」
「承りました」

軽い一礼をして名前は注文を取って裏方にそれを伝えるために一度姿を消す。
それをなんとなく見送り、さてと一息を付こうとした時の事だ。

「東堂、荒北。来ていたのか」
「福ちゃん男前じゃなぁい?」
「フク、オレ達は一応は主人ではないのか?」
「………」
「お、靖友と尽八じゃないか。来てたんだな」
「新開、二人は主だそうだ」
「えー、細かい事気にするなよ」
「お前はしろよ。名字ちゃんはちゃんとやってたんだけどぉ」

名字は真面目だからな。と新開は笑い飛ばす。
客のはずの二人はだからどうだと言う事はないが、真面目に応えてくれた名前が少し不憫だと思い同情した。もともと名前が真面目なのは知っているが、こうも反応が違うとなればもう同情するほかない。どう反応していいかわからず固まってしまった福富が可愛く見えるほどだ。

「おまたせいたしました、御飲物をお持ちしました」
「名字は真面目で良い子だな…」
「本当になぁ…新開、お前見習えよ」
「二人とも、働いて。厨房が困ってるから」
「ああ、悪い」
「忘れてた」

まったく。と名前が少し叱る様にすれば、その二人は大人しく言われた通りに厨房とされる裏方に行ってできたものを持って各テーブルに周っている。
やはりというか、なんというか。新開は女子受けをする顔で性格だ、座っている女子客のほとんどが新開目当てと言っても過言ではないのだろう。テーブルに付くとほぼ全員がブリブリとした話し方で媚を売っているように見えた。
それを眺めているのを知ってか知らずか、名前の場合は仕事を優先したのが大きいだろう。先ほどと同じようにして一礼をして他のテーブルに周るべく仕事に戻って行った。

「ほぼ女子ばっかだなぁ」
「男子もいるが、チャリ部だな」
「あ、真波だ」
「女子と一緒だと!?オレは荒北と一緒なのに…!」
「名字ちゃんに説教されてるなぁ」
「お、黒田と泉田も来たぞ」

思いの他盛況なのか、今来た黒田と泉田は名前に「ごめんね、今全部席埋まってて」といつもの口調で謝られている。どうやら名前は案内の仕事も含まれているらしい。
その辺りはファミレスみたいなもので順番待ちの紙に名前を書いている。

「待たせたな、注文の物だ」
「フク…接客業に向かん男だな」
「?そうか?」
「もう少し愛想をだな」
「福ちゃんもうすぐ休憩デショ?名字ちゃんの休憩まで時間つぶして皆でまわらなァイ?」
「ああ」

それから名前の休憩になるまで新開と福富はホールの手伝いというよりも新開目当ての女子客と写真を撮ってみたり、東堂がそれに対抗して撮影会が始まりかけた時には名前によって止められた。東堂は同じクラスではないから、というのが名前の意見らしい。
名前の休憩時間になると新開がクラス宣伝のプラカードを持ちつつ5人で各教室を歩く。道中には後輩と会っては写真と撮ってみたり宣伝をしてみたりしていた。

「東堂くんと荒北くんの仕事はまだいいの?」
「オレ午後からだからぁ」
「オレも午後からだ」
「いいなー、私たち午後もあるんだよ」
「ずるぞ、おめさんたち!」
「…む?新開、名字。ペルプだそうだ」
「え」

うそ!と名前が驚いた様子で福富の携帯を覗きこむ。
それから三人は互いに顔を見合わせてから溜息をして「戻る」と一言。

「…客の回転をよくするのに名字、女子客の集客に隼人、真面目に仕事をこなすあたりでフクとみた」
「……まあ、それが妥当じゃねぇ?」

残った二人は男二人じゃ面白くないから部室でも行くか。と時間つぶしの算段を始めていた。


※弱虫ペダルで、箱学文化祭の話




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