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|||小さな猫の存在感

「名字ちゃん、数学のノート貸してくんネェ?」
「名字、古文のノート貸して」
「名字すまんが化学のノートを貸してくれないか」

立て続けにノートの貸し出しの要請を受けた。確かにもうすぐ定期考査ですが、これはちょっとどうしたの?とうっかり言ってしまった。
確かに部活は忙しいのはわかる。だって私も部員だし、同じように時間を過ごしている。内容は違うけど、一生懸命さは同じだと思ってる。
でも今回ちょっとひどいと思うの。

「……いいけど…」
「すまん名字、英語のノートを貸してもらえないだろうか」
「福富くんまで!?」

あの優秀な我らがエースの福富くんにまでノート要請がきてしまった。もうこれは「きてしまった」という表現の他ない。あの成績優秀な福富くんが、だ。
驚いてどうしようもないけど、幸い誰も教科が被っていないのでルーズリーフをノート代わりにしているバインダーを取り出す。
教科担当の先生は違うけど、範囲は一緒なので参考程度に見るんだと思う。

「珍しいね…こう、そろってお願いなんて」
「寿一まで名字にノート借りるなんて本当だな」
「オメーは人の事言える立場カヨ」
「荒北、お前もな。勿論オレもな…」

一応は私にノートを借りるのに抵抗というか、悪いなという気持ちはあるみたい。
申し訳なさそうにしている高身長の男子はこうしてみるとちょっと可愛い。
可愛いとか綺麗な部類になる新開くんと東堂くんはもちろん絵になるし、ちょっと近寄りがたいグループの福富くんと荒北くんもちょっと可愛い。もしかしらた同じ部活が良いっていう贔屓目もあるかもしれないけど。

「私も勉強するから、明日には返してもらえると嬉しいな」
「大丈夫、今日コンビニでコピーするから」
「名字のノートは見やすいし、どの教科の教師よりもわかりやすいからな」
「あー、そうなんだよな。名字ちゃんのノート教科書とか問題集よりわかるんだよネェ」
「あとこのノートの端の猫が可愛い」
「え!」
「ああ、それネェ。オレも好き」
「名字の絵可愛いよな」
「吹き出しの猫だな」

そうだ。
眠気覚ましにとノートの端の落書きというか、吹き出しでノート取ってますよという体でそのまま出してもいいようにとの予防策が今友人たちにより総攻撃を受けています。
しかもそれが皆には地味に好評らしく、「オレここの猫好き」とか「この表情が可愛い」とか感想を言い合っていて私はどうしたらいいのなと。

「名字みたいにノート取れたらいいんだけどな」
「見やすいし分かりやすいしな。どうも名前の様に上手く出来んのだ」
「う、上手くないよっ」
「そんなことはない。前に借りた地理のノートはわかりやすかった」

な、なによう。どうしたの、どうしたの。
こんなにおだてても何もないんだからね!ノート貸すけど、他にサービスなんてしないんだからね!

「今度また数学教えてよ名前ちゃん」
「結局そこですよね!」

落ちは、多分見えていたけどね…


※箱学三年で褒め殺し




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