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「#エロ」のBL小説を読む
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|||ある種の一方通行

「なによ、それ」

凛がにやにやと名前の腰にくっついている金髪の少年を見る。それは誰もが知っている存在であり、名前にとっては生命線でもあるサーヴァント。この月の裏側に落ちてからというもの、サーヴァントがいるマスターは名前を含めて4人しかいない。

「知らない。朝からずーっと、これなのよね」
「へえ?まあ仲が良いのはいい事だと思うわ」
「すごく面白いわって顔になってる」
「だって面白いもの」
「……」
「まあそんな嫌そうな顔しないでちょうだい。ここじゃサーヴァントがいるのが羨ましいわ」

にやにやとしたままの凛は「その恰好でミーティングになったらすごく面白いわね」といならない爆弾を落としてくれた。そうなのだ、これからミーティングなのである。生徒会室に行けばレオとガウェイン、白野とそのサーヴァントがいる。ほかにもラニなどもいるが、もうその生徒会メンバーのいいネタの矛先になるのはわかりきっている。ジナコにいたってはモニター越しにうるさいのは確実だ。

「アーチャー、離れて」
「嫌です」
「歩きにくい」
「アーチャー、名前と腕くんで歩いたらいいじゃない」
「余計な事吹き込まないで」
「ここまでこうして来ました、ここから生徒会室まで少しなんだから問題ないと思います」
「大有りだ」

まるでギギギギという音が聞こえそうなほどの力技だ。くっついている少年の頭を名前は力の限り押しやる、しかし少年はそれに見事に抵抗している。データ体といっても名前の元は人間だ。データが基本である英霊に叶うはずもないのだが。
まずサーヴァントとマスターという関係であるところから力関係も違ってくる。

「……疲れた」
「それはいけませんね、部屋に戻り」
「ません。ミーティング行くぞ」
「まあ頑張って。私先に行ってるわ」
「皆に遅れるかもって言っておいて」
「わかったわ」



「…言いたいことがあるなら聞こうか、まずレオとガウェインから」

生徒会室に名前が入れば、案の定というかなんというか。まずレオとガウェインが吹き出した。何に吹き出したかを言うまでもないと思うが、とりあえず名前が力の限り自分のサーヴァントを引きずるように入ってきた事だろう。

「…言っていいですか?」
「やっぱりやめておく。私が腹を立てて終わりだから」
「その潔さ、いいと思います。ぷふ」
「よし、サクラ迷宮いこうぜそこの主従」
「やめなさいよ名前。らしくないわよ」
「冷静な貴女がめずらしい」

こっちだって冷静になれるならなりたいわ。と名前が吐き捨てるように言う。それも仕方がない、いつもと勝手が違うのだ。
べりっと音が出そうな勢いで無理やりサーヴァントを引きはがし、名前は自分の席へ座る。そしてそのサーヴァントはさも当然だと言わんばかりに名前の膝の上に乗ろうとするところを名前はさすがに堪忍袋の緒が切れたらしい。

「アーチャー、いい加減にして。今度こそ魔力全力で絞るよ」
「えー良いじゃないですか」
「良くないじゃないですか」
「サーヴァントとは仲良くしましょう」
「限度がありますが」
「子供にやさしくしてくださいマスター」
「子供のフリして何を言うか」
「いだだだだだ」

名前がグイとアーチャーの首というか顎を押して応戦する。はたから見ればたぶん姉弟の一見可愛いじゃれあいにも見て取れる。しかし、その本質はそんな可愛らしいものでは全くない。名前は半ば本気だからだ、あの腕の力の入れ具合は本気そのもので、それに対してアーチャーは幼年体というハンディを名前にあたえている。

「痛いならやめなさい」
「青年体になっても、同じこと言えますか…?」
「青年体になったら容赦なく絞ってやるから覚悟しろ、この変態」
「その変態と相性がいいからとセラフにおすすめされてのはマスターですイタタタタタ」
「はいはい、そこの痴話喧嘩。やるなら外でやってちょうだい」

どうします?やるわけないでしょ!!と名前がアーチャーの頬を引っ張って一応は終わったらしい。
会議中、そのサーヴァントが何かと名前にちょっかいを出して名前がどなるのは片手では到底たりなかったが。




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