企画! | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




|||魔性と作家と引きこもりと守護と

CCCでサーヴァントがプロトセイバー



「まあ、おとぎ話の王子様みたいですわね」

艶っぽく笑うキアラの隣でアンデルセンは大きく溜息をついた。
それは名前の隣に立つセイバーである騎士王を見ての発言で、当のセイバーはどう反応していいものかと困ったように愛想笑いを浮かべて名前の後ろに半歩下がる。

「キアラさんはおとぎ話お好きなんですか?」
「ええ、幼少期にたくさん読みました」
「もしかして、その関係でアンデルセンと?」
「ふん、変な言いがかりはよせ。この変態に付き合えるのが他に居なかっただけだろう」
「あら、それを言うなら私にも言い分はありますよ。こんな生意気なサーヴァントなんて私くらいしか扱えません」

キアラのうふふふ。という何か恐いものを感じさせる笑いにアンデルセンも何かどす黒いものを感じさせる。
そういえばこのやり取りも最初は驚いたが今となっては「ふーん」くらいにしか思わなくなってきた。それは多分名前だけではなく白野も同じだろう。こうやって校舎内を好き勝手に歩き回るマスターは名前と白野くらいしか居ないのだ。基本的にレオもラニも凛も生徒会室に居るし、サーヴァントがいる二人以外に歩き回る必要もない。

「全く可愛げのないサーヴァントですこと」
「ほう、それは同意だな。この無駄肉のマスターめ。おい名前、お前もこのような牛になどなるなよ」
「人のマスターに変なことを言わないでもらおうかアンデルセン」
「ふん、貴様は精々他のサーヴァントにマスターを取られないように気をつけておけよ。あのBBならやりかねんからな」
「ちょっとそれ凛とラニの事言っているの?」
「そうですね…もしBBの衛士になってしまってはあんなあられもない姿を晒してしまいますからね…ああ」

恥ずかしくて恥ずかしくて身体か熱ってしまいます。
なんて扇情的なのだろうか。さっと名前の目を自分の手で覆い隠して見せないようにしている。名前も名前でなんだか嫌な予感かしたのでされるがままだ。
もし殺生院キアラが表で対戦者であったらこれ程やりにくい相手はいないだろうというのが名前とセイバーの感想だ。
そのみせないように配慮していた姿を見たキアラは「いやですわ、目隠しプレイだなんて…」とまた斜め上の感想を述べる。それには近くに居たNPCでさえ引いたのだろう。その気配が遠のいていくのがわかる。それかもう見ないものと無視を決めたかだろう。NPCであっても関わりたくないらしい。

「そうだマスター。ジナコにも用事があったとか言っていなかったな?」
「ジナコ…いや、あ。うん。そうそう」
「そういうことだから私達はここで失礼するよ」
「そうやって逃げていろ。お前は逃げられるがこっちはこれがマスターのお陰で逃げる事もできん」
「あら、逃げるだなんて失礼な。私の何処にそんな逃げなければいけないところがあるというのかしらアンデルセン?」
「その無駄だらけの胸に手を押し当てて考えてみるがいい。それさえもわからないのら無駄だがな」

また次のラウンドが始まりそうだと感じた名前はさっと手を上げて「それではごきげんよう」とレオとラニの受け売りの言葉でその場を後にする。ついでにその上げた手でセイバーの目隠しを取りながら。さすがに目隠しをしたまま歩くという無謀者ではい、転べば痛いし恥ずかしい。
本当はジナコには用事はない。それにジナコは名前に会うこともしない。ジナコが唯一会うのは白野だけだ。名前も何度か会いに行ったことはあるが用務員室の前でカルナに「ジナコは眠くないのに寝るらしい。起きたくなった頃にまた来てくれ」と何度門前払いされただろうか。もう会うという行為は諦め、生徒会室でのサウンドオンリーでの会話しかしていない。
とりあえずアレはセイバーがキアラから逃げるためにいっただけだ。

「さて、きっと会えないジナコのところに行ってみようか」
「そうだね。それにしても彼女も強情だね」
「ジナコ?」
「あそこまで引きこもるなんて…」
「それでも白野には会うけど」
「一体何者なんだ…」
「白野はある意味タラシなんじゃない?凛もラニも、生徒会のマスターは好意的だし、それにサクラだってあれは好意もっていると思うよ」

持っていた携帯端末が震えた気がして出してみるが、それは沈黙している。そういえばこれは震える仕様ではなくて音がでるのだったと名前はそれを仕舞う。

「どうしたの、セイバー」
「マスターも、好意があるのかと思ってね」
「まあ無くもない、かな。でも表に戻ってしまえば命を奪い合う関係なんだし、あんまり深くは関わりたくないかな。凛と殺し合うかもれないっていうだけでも嫌な思いしているし」
「…そう、か。でも仲間は持っていて悪くないから、個人的には節度をもって仲良くして欲しいかな」
「なに?その節度って」
「清く正しい関係とでも言っておくよ。それ以上は僕個人の思うところに入ってしまうからね」

最近ガウェインの真似をしているのか、そういえば実体化をよくしているセイバー。今回も霊体化することなく名前の少し後ろを歩きながら説教というよりも願望を述べている。その証拠に一人称が私から僕にかわってしまっている。
普段そのあたりはきっちりと分けているセイバーにしては珍しい。公私混同はしないタイプとでも表現すると格好がいいのかもしれない。

「今ジナコは」
「眠くないのに」
「寝るそうだ。だろう?」

ジナコの部屋のまでは猫背でいつもの文句を述べると、それにあわせて名前とセイバーが文言の続きをいう。まるで開かない扉で唱える呪文のようだ。ただその扉は開く事がない。いや、名前では触ることさえ出来ないのだ。

「いつもすまないな」
「音声での会話では元気なのに人に会うのが嫌だなんて。変わっているのね、ジナコ」
「そのくせ誰かと関わっていたいんだ。どうやら我が主にはこの薄っぺらい扉がまるで自分の体重よりも重いと思っているらしい」

すると中から勢いよくドンという音がして扉が震えた。どうやらジナコが今の会話を聞いていて中から叩いたらしい。叩いたにしては音が大きい気がする、もしかしらた何か投げつけたのかもしれない。

「う、うるさいっすよ!!ジナコさん寝るんだから、邪魔しないで!!名前さんも、さっさと帰っちゃってくださいっす!」
「ジナコ、子守唄歌おうか?セイバーが歌うよ」
「え」
「ちょ…そ、そんなんいらないし?ジナコさん馬鹿にするのもいい加減にして欲しいんですけど!」
「そうだぞ名前。ジナコは必死に眠くないのに寝ようとしているんだ。それを本気で寝かしつけられたら本末転倒だ。世ではそれを不貞寝という」

また扉が震えて「カルナさんは黙るっす!!」とジナコの怒った声が響く。
ちらっとその扉を見て、ジナコを守護する英霊は「そろそろジナコが本格的にこもりそうだ、失礼する」と姿を光の粒にして室内に消えていった。
それからすぐに「ジナコさんカルナさんとお話は拒否!拒否拒否拒否!」と口早に叫んでいるのが部屋の外まで聞こえた。廊下の隅でNPCがちらっとその声がする部屋をみたが、何も無かったように窓の外を眺めはじめる。ジナコもジナコでどうやらここに馴染んでいるらしい。

「さて、これからどうする?迷宮にでも?」
「そうだね…一応マスター達との交流とまでいかくてもしたし。白野の手伝いもしないとだしね。それに白野のサーヴァントがうるさいし」
「それでも仕事をこなす名前はさすが」
「信用と信頼!安心の実績です」

ふふん。とちょっと得意気に笑った名前の後ろにセイバーは続いた。




[*prev] [next#]