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「#エロ」のBL小説を読む
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|||不要じゃないよ大切だよ

「ぱんつ はかせ ない !!」
「何を言っているラニ=[!?」

ばばーん!!と言うBGMが似合いそうな装いで爆弾を投下してくれたラニ。それにいち早く反応したのが名前で、あっけにとられたのが白野。サーヴァント二体は正にそれぞれの反応を示している。しかし今の問題はサーヴァントでも、生徒会室の面々の反応でもない。目の前のラニの爆弾だ。
一体何がどうしてそうなった。
それが今の迷宮に居る魔術師二人の気持ちがシンクロしたのだ。

「ここを通りたくば脱ぐのです、白野さん」
「…はい、ラニ=[質問!」
「どうぞ、ミス・名字」
「白野だけ脱げばいいですか?」
「な…名前!?」
「だってここ白野だけ脱げばいいなら私無事で済むし。何より白野は女子に下着を脱げという変態なのかという疑問が浮かぶんだ。ねえ、セイバー」
「そう、だね…まさかここで名前に脱げって言うなら私は君を軽蔑するし、ここから先には名前を進ませないよ」
「ここで騎士精神出すのズルイぞ!」
「私のサーヴァントは騎士王ですから!!」
「たかが下着ぐらいで騒ぐな雑種」

脱ぎたくないのは名前も白野も同じ。まず下着を穿く習慣ならばいきなり、しかも人前で脱げというのは大問題だ。しかしそれをラニは目の前で堂々と脱げと言ってくれたのだ。これは凛が居ても「ぜっっったいに、いや!!!」と騒いだに違いない。
スピーカーから聞こえてきた凛の小さい声で「あー、良かった私サーヴァントいなくて」という言葉は本当に羨ましかった。

「別に白野さんだけでも構いません」
「やった!」
「ただ脱いだ人しか通れないだけです」
「………お、おう」

それではごきげんよう。と姿を消したラニ。正直全然ご機嫌ではない。むしろ逆だ。
そして沈黙が二人の魔術師と二体のサーヴァントを支配している。
サーヴァントには主に関係がないが、マスターである魔術師二人には大問題である。互いに目を合わせず、ただひたすらに黙っている。どちらかが声を出せば恐らく脱ぐ脱がないの論争になるのは明白。要は二人とも脱ぎたくない。というか脱ぎたいとか言い出したら変態だ。

『ほら、お二人とも?』
「レオは黙って」
『お、お気持ちはわかります…ですが、』
「桜、ちょっと黙って」
『……白野、貴方行きなさいよ』
「な、凛!?」
「そうだ、レオが行けば良いじゃない。男子なんだからここで男気みせなさいよハーウェイ。脱ぐにしても同性同士のほうがまだ良いでしょ」
『そんな、僕とガウェインは最後の切り札ですから』

逃げた、逃げたなレオ…!とまたもやと白野の心がシンクロした。
実際レオもガウェインもこの状況を楽しみ、この状況をどうにかできるのは白野と名前しかいないのだ。悲しい現実とは正にこのことなのだろう。できる事なら二人とも拒否したい。しかしまったく最悪なトラップをしかけてくれた。

「…名前、ここは彼に任せよう。君にそんな事をさせられない」
「セイバー…」
「ちょっと待ってセイバー。なら男は関係ないって言うのか!?」
「関係なくはないが、名前のようにスカートではない分まだ、救いはあるだろう?」
「っぐ」
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと脱げばいいだろう」
「な、ギルガメッシュまでって…なに、しているんだ?」

白野がそういうのも無理はない。おそらく名前も同じ事を思っている。
何故白野のサーヴァントのギルガメッシュがさも自分も名前のサーヴァントの様にしているのか。セイバーの頭の上にも「?」があるように錯覚してしまう。
しかも、だ。その言葉は白野ではなく名前に向けて言われたのだから誰もが「なに言ってんの?」状態なのだ。

「え、わ、私に、言ったの?」
「ギルガメッシュ、私のマスターにあられもない姿になれというのか?」
「そもそも協力すると言ったのは貴様だ。それを早々に破約させるのか」
「うぐ…」
「ギルガメッシュ、名前は女性なんだ。レディがそんな事をして…」
「そうだぞギルガメッシュ。…そうだよな、名前はスカートだもんな…」
「しかも短い…ガウェイン、これについて弁明があるなら聞こう」
『私の感知する範囲内ではありません』
『え、そう?別に名前のスカート短くないわよ?』
『遠坂さんが短いんですよ…』
『へ?そう?名前はちょっと長めかと思ってたんだけど…』
『だっはー!それで長めとか。じゃあ凛さんの短いってどのくらいなんです?にやにやー』
『うるさいわねジナコ!』

それはない。それは凛以外の誰もが思ったが口にしなかった。
その話はさておき、ここは脱ぐか脱がないかの選択だ。まずラニの作った装置だ、これは脱がない事には始まらないだろう。アトラス院のホムンクルスだ、こういうことには徹底している。

「脱がんなら脱がすぞ」
「…は?」
「名前、下って。ギルガメッシュ、どういうつもりだ?私のマスターの下着を奪うというのか」
「貴様のマスター?笑わせる。これは…」
「よし、名前。脱がなくて良い。ここはこっちでなんとかする。凛の時だって何とかなったんだ、今回も大丈夫だと思う。だから名前は戻ってくれ、本当に!」

ギルガメッシュと名前の間にセイバーが割り込み、一触即発の様な雰囲気が漂った瞬間だった。白野が空気を読んでか読まずか、大きな声で自分が行くから名前は気にせず旧校舎に戻ってくれと。
それに名前は感謝すべきなのだろうが、どうにもこの状況では素直に感謝というか、感謝するに頭が回らない。むしろ「え、今その話?」状態なのだ。目の前に男が二人で一触即発なのだから。

「…あ、ありがとう白野!!感謝します。よしアーサー、旧校舎に戻ろう、即戻ろう。ここに居たら白野に迷惑かかるから、ね!!うん、それが良いよね」
「え、あ、ああ…名前が、言うなら…」

ようし、帰るね!ありがとう白野!!とセイバーの手をとって早々に退散する。
下着の件もあるが、今はギルガメッシュがなんだが突っかかってきて居づらいのだ。それに名前を庇うのでセイバーも標的になりやすく、自分のサーヴァントではあるが申し訳がない。無用な心配も苦労もしたくはないので、ここは白野の申し出にありがたく受入れさせていただく事にしたのだ。

そうとなれば名前の足は速い。見る見る間にその姿は小さくなっていった。

「…最後にうっかりセイバーの真名言ってたな」
「……ふん、愚か者のすることだ」

睨むようにギルガメッシュは名前とセイバーが姿を消した方向を眺めている。
白野は何故彼が名前にチョッカイを出すのか前から不思議だった。男のサーヴァントからしたら女のマスターが羨ましいのだろうかと思いもしたが、それならば別に凛でもいいはずだ。しかしギルガメッシュは凛には特に興味を示していない。ではあのセイバーも関係あるのかと思うが、どちらかといえば名前と親しげなセイバーを毛嫌っているように見える。

「…なあ、ギルガメッシュ」
「我に進言か?おもしろい、赦す」
「なんで、名前にあんなに突っかかるんだ?別に名前がギルガメッシュに嫌がらせとかした訳じゃないだろ?」
「…ふん、これは面白いことを言うではないか」
「いや、さすがに今回のは…と、思って」
「…あれは」
『はいはーい、ほら名前も戻っていないんだから早くして。…モニター、切るからね』
『え、切るんですか?』
『レオ、彼もそんな堂々と録画していますと言われたら脱ぎづらいでしょう』
『モ、モニター切りますからね!』

バタバタとした様子が伺える。
ああ、そうだ…ぱんつ…と白野は思い出して気が重くなった。

「まあ、なんだ雑種。あれを逃がしたのだからその責はまっとうしろよ?」




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