|||戦国無双:程々にしてください/ 光秀(カプチーノ様)
※連主
「………」
「………何か言うことはありませんか?」
「す、すみません…」
名前は一言謝ると、身を縮めた。
それに対して光秀は呆れたように、また、心配した面もちで名前を見つめている。
光秀から名前を見たら娘の友人である傭兵。名前から光秀を見たら友人の父であり雇い主だ。
そして何を言われ何故名前が身を縮めていたかと言えば、それは名前の姿に問題が起きたのだ。
それが戦に行く出で立ちではない。というものではない。
名前はどちらかと言えば真面目な性格で、娘にも見習ってほしいくらいだと思うほどに。
その名前が何故光秀に呆れられたかと言えば、その真面目な性格故の結果だった。
「救援要請が出たからと言って、なにも全てに行かなくてもいいんですよ」
「…はい」
「こんなに泥だけになって…その様子では落馬もしたんじゃありませんか?怪我だって必要以上にすることはないんです。何より命を落としては元も子もないでしょう」
「…はい」
「怪我をするなと言っているわけではありません。怪我もある程度必要とは言いませんが、あって当然ですが…」
「………」
「ですから、その腕や脚、ましてや顔にまで…名誉ある死はありません、負傷も」
そう名前の姿は泥だらけで怪我が酷い。
自分自身の血と泥が混じって赤黒く名前の体をや汚している。
名前は光秀の護衛兼傭兵として雇われている。
戦場で救援要請が出れば光秀の代わりに動き、光秀が命じた任務には忠実に動いた。
ただ、その任務の途中でさえ可能な限り戦場を駆けめぐった為に必要以上の怪我をしたのだ。
それを光秀は咎めるつもりはない。
何故なら名前の功績はそれだけ大きいのだ。
名前の行動で優勢に事が運んだ。
しかしその代償としての名前の負傷は釣り合わない。
「…貴女が焦る理由を知っていますが、それこそ命を落としては達成出来ないでしょう」
「焦っているつもりは…ないんです。ただ、」
「ただ?」
「やらないと。そう思って…怪我も、刀も、銃も怖いです。でも、コレを持って、走ると…ただやらないとと思って…」
「………」
「すみません、雇い主である光秀殿の命令を投げやりにしたつもりはなかったんです…」
真っ直ぐ過ぎるのか。
光秀は溜め息をひとつ漏らして名前をただ見つめた。
程々にしてください
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