TIGER&BUNNY | ナノ
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一般的な見方として



[from]鏑木
『おたくの弟、大変だぞ。つうか、ノリノリ過ぎてビックリした』

は?と眉をしかめたが、添付された画像を見たら吹いた。
まさかの水着。しかも笑顔だ。
これには流石に吹き出してしまい、部下に「どうしました?大丈夫ですか?」と心配されてしまい、申し訳なかった。
普段仕事ではいたって真面目に取り組んできたので、年下の部下は私が吹き出すとか笑うというのはいまいちピンとこないのだ。
どうしてそんなことを知っているのかと言えば、ロペスが前に部下に聞いたと私に話したからだ。


「いや、友人が面白い写真送ってきてつい。仕事中に悪かったわ」

「チーフが吹き出すなんて驚いて。よかったら見せてください」


どうぞ。と携帯の画面を水着で笑う弟の写真にして渡すと、案の定部下も吹き出すかと思えば結果は違った。


「え、バーナビー!?ち、チーフはバーナビーとお友達なんですか!?凄い!」

「いや、バーナビーじゃなくて、相方と友人なのよ。ワイルドタイガーと」

「私バーナビーのファンなんです!ファンクラブにも入ってて!」

「おーい、ここクロノフーズ。アポロン一応ヒーローではライバル社」

「そ、それならチーフだってワイルドタイガーと友人て」

「そりゃジムに行きゃあ知り合いにもなるよ」

「ええ!じゃあバーナビーともお友達なんですか?」


え、あ、うん、まあ。と曖昧に答えるとキラキラとした女性部下の視線。
うーん、これは紹介してくださいってパターンだぞ、どうする私。


「言っておくけど、他社の人だから迷惑はかけられない。何より私はクロノフーズ所属ヒーローのロックバイソンのヒーロースーツエンジニアチーフなの。そして貴女は私の部下」

「…うっ」

「ま、紹介して欲しいならロペス辺りに頼んだら?私はその件に関しては関わりたくないから」

「…はい」


間違った事は言っていないはず。
血縁関係はないが、一応は姉弟。
これは事実であって真実。
姉である私はクロノフーズ、弟はアポロンメディア。
これは普段であれば至って普通の職場、姉弟ならば違って当然。同じなのが変わっているのだ。
それが私はスーツエンジニア、弟がヒーローという立場となれば話は別だ。しかも私はアポロンメディア社長のマーベリック氏を「おじさま」と呼べるのだ。
そうなるとクロノフーズにいるのを社長に、いや、それよりも職場の仲間にバレるのが困る。


「ねえ、バーナビーって人気あるの?」

「ありますよ!格好良くて紳士!それに若いし。理想の彼氏ですよね!」

「…そっか、へー」

「私の友達も彼のファンで、ファンクラブに一緒に入っちゃいました」


…本当に人気があるのか。
正直驚いた。ルーキーである弟がここまで若い女性に受けているのに。
今まではキングと呼ばれたスカイハイが人気が一番だった。現に私もファンである(みんなには勿論秘密だ。一応はクロノスフーズの社員だし)

バーナビーの話で一人で勝手に盛り上がっている部下を見ていると羨ましくなってきた。
バーナビーが。ではない、彼女自身にだ。


「そっか、バーナビーのファンかー。人気なんだね」

「時代はバーナビー!いいな、私もバーナビーとお近づきになりたいです」

「テレビと違うかもよ?」

「ギャップも魅力的です!」


シスコンでも?と言わないのは彼女の夢を壊さない為だ。
決して私がバーナビーの義理ではあるが、姉とバラさない為ではない。

そんな部下が乙女になっているのを今度弟と、その相棒に話してみようと思う。
鏑木は「バニーちゃんモテモテだな」と言って笑うだろうか。
そして弟は「別にモテたいわけじゃありませんよ、姉さんも知ってるじゃないですか」と困ったように笑うだろうか。