TIGER&BUNNY | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


お姉ちゃんと弟、ときどきヒーロー




「…バニー満喫してるな」

「本当ね」


ため息をついた虎徹の目線の先には隣にいるカリーナよりも少し幼く見える琉伽と、幼児のバーナビー。
それは何も知らない人間がみたら実に微笑ましい光景だろう、小さな男の子を抱っこしているお姉ちゃんだ。外見の違いはあるが、それこそ近所のお姉さんと男の子。


「まあ、精神がバーナビーのままって言うのが…ねえ」

「…だよ、なあ」


そうなのだ。
男の子はバーナビー、しかも精神はそのままで身体だけ20年前に戻り、琉伽はといえば精神も身体も20年前に戻ってしまった。
原因はNEXT。つい最近能力に目覚めたNEXTが上手く能力を扱えず、たまたま近くにいた琉伽とバーナビーが被害を受けたのだ。
それにNEXTはまだ能力の使い方が出来ず、多分時間が経てば戻るのでは?という様子見になった。
そのNEXTには早くバーナビーを戻してもらわないと困る。会社としても。
人気ヒーローが番組に出ないとそれだけで損害だ。
琉伽もロックバイソンのスーツエンジニアなのでメンテナンス等色々と不便が起きるのは想像に軽い。現にロックバイソンことアントニオ・ロペスは青い顔をしていた。彼のスーツのメンテナンスは琉伽一人で請け負い、開発にも力を入れていたのだ。
ほかのエンジニアを信用しない訳ではないが、細やかな彼の癖を把握している琉伽が居ないのはひどい痛手だ。


「あ、スカイハイがバーナビーに気付いた」

「あいつ何気に子供好きだよな」

「琉伽さんと何話してるのかな、凄くニコニコ笑ってる」

「さーな、まあどうせ抱っこさせてくれって言ってんじゃねえ?ほら、抱き上げた」

「…バーナビー青い顔してるけど、大丈夫?」

「横に琉伽もいるんだし、大丈夫だろ」


スカイハイに抱き上げられたバーナビーをニコニコしながら見る琉伽。
話の内容は聞こえないが、どうせ「バーナビーよかったね、お兄さんに抱っこしてもらって」と定番中の定番の台詞をいっているのかもしれない。なにせ琉伽はマニュアル大好き日本人だ、このくらいの予測は簡単だ。
するとバーナビーを抱えていた腕が上へと上っていく。


「…ね、タイガー。私嫌予感がする」

「お、おう…偶然だな、俺もだ」

「あ、あれ、もしかして…」

「やべえ、琉伽!止めさせ…」


え?と叫ぶ虎徹を見るのと同時。
バーナビーはスカイハイによって高く投げられた。