TIGER&BUNNY | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


ギャップ


「私、アイツ嫌い」

「ええ!ごごごごごめん」

「…は?」

「へ?」


トレーニングの休憩。
一人で水分補給をしているとブルーローズというヒーローをしているカリーナが不機嫌そうにやってきた。
どうしたのかと聞けば、カリーナの目線の先には先日からワイルドタイガーとコンビを組んだバーナビー。
それを理解した琉伽は「ああ」と声に出した。


「昨日の?」

「他にも!」

「あら、ご機嫌ナナメね。どうしたの?」

「カリーナはバーナビーが気に入らないんだって」

「ハンサム?そう?アタシは好きよ、目の保養だわ」


ファイヤーエンブレムことネイサンは腰をくねらせる。
それに苦笑を漏らす琉伽、カリーナは何やら不満そうにしている。


「どうしたの?何か悩み?」

「そうよ、いつまでもそんな不機嫌にしてたら折角の可愛い顔が台無し」

「……」

「失敗なら私も何回もしたよ。それこそ上司に小一時間は説教されたし…」

「あら、あの美形に?いやぁん、羨ましい」

「同情してよ」


違う。と漏らしたカリーナに二人は顔を見合わせて一緒に頭を傾げた。
何が違うのか。
てっきり二人は昨日の失敗だと思ったのだ、原因は。
いつの間にかカリーナは手を握りしめ、唇を堅く結んでいる。


「ファイヤーエンブレムは羨ましい…自分が社長だもん。それに英雄名も、キャラクター作ってないじゃん」

「いやいやいやいや、私も作ってるよ」

「え、素じゃないの?アタシてっきり」

「私どんだけ無口だよ、喋りまくりだよ」


とんだ思われようである。と琉伽は必死に弁解する。
しかし今はそれは問題ではない。大事なのはカリーナの悩みであり、琉伽と英雄名のキャラクター性ではない。


「…報われないじゃない」

「……」

「危険な事しても誰も褒めてくれない、ヒーローなんだから当然?人助けして当たり前?」

「…まあ、昔からヒーローってそんなもんだよ」

「そうねえ…」


カリーナの言っている事はもっともだ。
危険な事、それこそ命の危険。それは日常茶飯事に近い。
琉伽も一歩間違えれば命を落としかねない。
それにカリーナはヒーローをしたくてしているのではないと漏らしていたことを琉伽は知っている。
琉伽とカリーナはキャラクターが近いのでヒーローとしてはいい感じにライバルになっているが、実際は仲がいい。
年上の琉伽を姉の様に慕っている。
英雄名としてブルーローズを助ければ可愛くない言葉を貰うが、終われば謝罪と感謝のメールが届く。
それに一緒に買い物にも行くのだ。
自身とヒーローのギャップの大きさ故の苦悩なのだろうか。