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ファーストコンタクト



「……初めまして」

「ああ、どうも初めまして」

「お、琉伽。おっす」

「鏑木さん、おっす」


トレーニングルームに来たら初めて見る顔。
とりあえずは挨拶しておいて損はない。何故ならこのトレーニングルームはヒーロー関係者しか入室できないからだ。
無難に挨拶をすれば、よく見知った男性がひょっこりと顔を覗かせたことに琉伽はようやく安心した。


「…えーと」

「あ、こいつ相方」

「お笑いでもされるんですか?」

「お、おわら…違う違う」

「バーナビー・ブルックスJr.です」

「琉伽・早乙女です。」

「おや、早乙女琉伽ではなく?」

「日本で言えば、ですね。郷に入れば郷に従えというやつですよ、ブルックスさん…いや、ミスターブルックス」

「バーナビーでいいですよ」

「おーい、俺を忘れんな」


忘れてませんよ。と笑う琉伽と小馬鹿にしたように鼻で笑うバーナビー。
そうそうにバーナビーは自分のトレーニングに戻ると行ってしまった。
残された琉伽と虎徹。
なんとも面白くないといった表情の虎徹に琉伽はサササッと近寄る。


「で、結局あれはあの…?」

「どのアレだ。まあ…うん、アレだ。素顔さらしたアレだ、アレ」

「あー…。で、相方って?」

「実はな…」


ことのあらすじは簡単。
虎徹がヒーローを勤めていた会社がヒーロー事業部を買収されたのだ。
そして新しいヒーロー事業部ではコンビでやる。
ついでに言うならバーナビーの引き立て役だそうだ。


「…なんというか、色んな意味でお気持ち察します」

「…オジサンに気を使ってくれるの琉伽だけだぜ」

「あのスーツも変わっちゃうんですか?私あれ好きだったのに」

「え!なに?琉伽もあのスーツの良さ解ってくれるの!?」

「あのちょっとダサいのが好き」

「……」


がっくりと肩を落とす虎徹。
元々ドジばかりする虎徹扮するワイルドタイガーを何度も…いや、毎回助けていた琉伽扮する英雄名。
意外とワイルドタイガーを助けると人気が上がるのでスポンサーにも受けが良かった。
本当のところはちょうどドジを踏むところに助けに入るというのが民衆には受けがいい、そしてポイントも少なからず入る。
しかし琉伽自身はそんな事関係なく助けている。言わば虎徹と同じで自然と身体が動くのだ。
言わば似たもの同士で、何かと虎徹は琉伽を気にかけてくれるのだ。