TIGER&BUNNY | ナノ
憩いの時間
「カリーナ、恋愛映画観る?」
「恋愛映画?」
そう。と琉伽が差し出したのは今話題の人気映画のチケットが二枚。
若い女性を中心に凄い人気らしき、今はチケットが手には入らなかったという逸話つきだ。
「これ人気映画の、どうしたの?」
「貰った」
「…琉伽誰かと行きなよ、これ凄く人気で手には入らないって聞いたよ?」
「行かないからあげるの」
「あら?どうしたの」
たまたま通りかかったネイサンにカリーナが映画の事を話すと、ネイサンは「素敵!」と目を輝かせた。
ネイサンは恋愛映画が好きだっただろうかと少し思ったが、人の好みに云々言うのは面倒だと割り切った琉伽は「カリーナ行かないならネイサンどう?」と進める。
「これ、観たかったのねぇ。でも、琉伽もカリーナもいいの?アタシ貰っちゃうわよ?」
「私一緒に観に行く人居ないし」
「えー、友達と行けば良いじゃん」
「それ丸々琉伽に返すわ」
「だって私、赤の他人の恋愛なんて興味ないし」
「「え」」
「それがカリーナとかネイサンとか、知り合いならまだしも、他人だよ他人。どうせ好きになってすれ違って別れそうになって結局くっ付いてハッピーエンドじゃん」
確かにその筋書きは王道でスタンダードである。
しかし琉伽の言っている事に多少の文句も言いたいが、今はもい溜め息しかでない。
そう言えば琉伽が映画を観たいとか、観に行ったという話で恋愛映画は入っていない。
「…やっぱりチケット返すわ。琉伽、アナタこれ観に行きなさい」
「そうね、これは琉伽が行った方がいいわ」
「え、一人で?恋愛映画一人って凄く虚しいよ、寂しいよ、哀れだよ」
「じゃあ誰か誘いなさいよ」
「ネイサンかカリーナ行こう」
「「だめ」」
いったい何が駄目なのか。それが解らない。
琉伽にしてみたら興味がないモノを持っていて無駄にするよりも好きな人に使ってもらえる事の方が無駄がなくていいと思ったからやった事。
それを二人から何かのキッカケで断られてしまった。
「琉伽、彼氏いないの?」
「いるように見える?」
「……じゃ、気になる人は?」
「いないな」
「誰か誘って映画行きなさい。この際ヒーロー仲間でもいいわ」
「ん?」
「よし、ならハンサム誘いなさい。彼なら空気読んでくれるわ!」
「絶対嫌、断る!それならこのチケットここで破り捨てる、燃やす、消し炭にする」
その反応にはネイサンとカリーナが驚いた。
琉伽とバーナビーはそんなに険悪な関係だったであろうか。
琉伽がバーナビーを異性として意識していたのであれば多少の理解もできたが、今までの琉伽の行動からしてそれは無い。
「な、なんで?」
「だって、だってだよ!?素顔と本名晒してるヒーローと一緒に歩くの嫌だよ、外で会話もしたくない!有名人と知り合いって思われたくない!それならキースさんかロペスさんかイワン君がいい」
憩いの時間
あ、そうだ。
鏑木さんにあげよう。確か娘さんいるし。