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ヒーロー無休


「おっと、英雄名ピーンチ!!」


イヤホンから聞こえるアナウンサーの声。
番組を盛り上げるためだとは解っているが、そのテンションはウンザリする。


「チクショウ!」

「銃を降ろして大人しく投降しなさい」

「うるせぇ!こっちは命掛けてんだよ!」

「あら、奇遇ね。私も一応命掛けてるのよ」

「手前ぇと一緒にすんじゃえねよ!ヒーローがっ!」

「そうね、一緒にしたらいけなかたった。……そろそろ終わりにしましょう?」


ゴーグルで顔の半分を覆い、口元だけが見える英雄名。
目は犯人からは見えず、英雄名は小さく頭を傾げ、口元が弧を描いた。





「お見事ー!英雄名にポイント追加ー!」


能力を使って無事に犯人の一人を確保。
まだ小さく犯人は抵抗しているが、この程度の抵抗は抵抗のうちにはいらないが警戒して悪いことはない。
それこそ犯罪者だ、警察に引き渡すまで油断してはいけない。


「いい気になるなよ…」

「……?別に良い気にはならないわ」

「は…どうだかな」


確かに今回の事件は犯人が複数いる。
しかしヒーローより多いというわけではない様子だ、その情報はプロデューサーが警察の情報を流してくれている。
英雄名が最初の逮捕らしいが、他のヒーロー達も続々っ追い詰めているとの情報も耳に入っている。


「そうやっていられるのも今のうちだけだ」

「…どういう意味?」

「さあな、せいぜい今、俺達を捕まえて優越感に浸ればいいさ」


裏がある。
誰しもこの言葉を聞けばわかる言動に英雄名は不信感を抱いた。
犯人の言葉を信じると、報復行為、若しくはもっと大きな混乱が招かれるというニュアンス。

英雄名が犯人に「どういう意味だ?」と問いただそうとした瞬間の事だった。
何かが英雄名の頬をかすった。
それと同時に犯人の足元のコンクリートが小さく爆ぜた。


「……銃!どこからっ」

「英雄名!12時の方向から射撃よ、犯人を追って!!」

「ひゃははは!さっさと逃げないと標的だ!残念だったな、ネーチャン。俺の勝ちだ、警察がくる前に助けが来たんだよ」

「…残念なのはそっち、警察ご到着。ご愁傷様」


放たれた銃弾は一発、英雄名を狙っていた。
それ以外は放たれてはいない。
威嚇か、一発に賭けたか。
どちらだ、いや、今はその事が重要ではない。
犯人の言動と銃撃、犯人は警察と番組が把握しているよりも多い。


「英雄名、銃撃犯を追って!」

「…了解」


警察の姿を確認すると英雄名は地面を蹴った。