TIGER&BUNNY | ナノ
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………。


「あら、今日はもう大丈夫なの?」

「うん、大丈夫!ご心配おかけしましたー」

「無理しちゃだめよ」


はーい。と何時もと変わらない琉伽。
トレーニングマシンを使い、いつものようにトレーニングを開始している。
ここ数日しっかりトレーニングをしていなったので少々キツいが、やらねば自分の仕事ができない。
時たま同僚兼商売敵が顔を覗かせては「無理するな」と声をかけてくれる。
その度に「ありがとう」と声を返す琉伽は少なからず皆心配してくれていたことに心を痛めた。


「…あ、」

「あ、どうも。昨日はご馳走様でした」

「いえ…」

「いやー、久しぶりのトレーニングはキツいですよ」

「……無理、しないように」

「はーい」


暫く無言で見つめられたが、結局無言のままどこかへ行ったバーナビー。
それを横目で見ながら琉伽は小さく溜め息をついた。

納得はした様子はなかったが、琉伽の想いを理解はしてくれた様だった。
だから声を掛けても、挨拶程度で終わってくれたのだ。
琉伽自身、バーナビーの想いが解らない訳ではない。
そして彼が傷を舐め合いたいわけでも、想いを共有したいわけでも無い事も。
ただ純粋に幼い頃関わりがあった二人が再会して、またその感覚には戻れないが、昔の思い出を共有する存在となって欲しかったのだろうということ。
それを琉伽は拒否した。
それは、あまりに懐かしくて、悲しいからだ。

結局は琉伽の自分勝手な自己防衛の為に伸ばされた手を振り払ったのだ。


「琉伽チャーン。」

「なんでしょうか鏑木さーん」

「ちょっちオジサンとお話しようぜぇ」

「えー。最近トレーニングさぼってたので身体鈍ってるんで、トレーニング後じゃ駄目っすか?」

「駄目ッス。オジサンとお話しようぜー」

「……バーナビー・ブルックスJr以外ならいいですよ」

「なんだ、わかってたのか」


そりゃ丸分かりですよ。とトレーニングの手を止めて苦笑する琉伽。
どうせ今朝からバーナビーの様子がオカシイ、昨日琉伽となんかあったんじゃないか?だろう。

話を聞けばやはり琉伽の思った通りにバーナビーの様子についてだった。
どうせ彼はもう琉伽とバーナビーの関係についても知っているのだろう。そう琉伽は直感し、虎徹には簡潔に自分とバーナビーの関係、昨日話した事を伝えた。


「……そう、か」

「そうです。私も彼の気持ちは分かります。でも、私、やっと前に進み始めたんですよ、ここに来て。また後ろを、下を向きたくない。それが逃げる事だとしても」

「……」

「両親が嫌いな訳でも、彼が嫌いなわけでもない。ただ、私の我が儘で自分勝手な保身の為に」

「…わりぃな、ツラいのに」

「ツラいのは慣れてますから。伊達に有名の娘とnextしてません」