TIGER&BUNNY | ナノ
俯きたくはない
「あ、鏑木さん。身体の方もういいんですか?」
「おう琉伽、だいたいなー。お前も倒れたんだって?お前こそ大丈夫かよ」
もう平気ですよー。とヘラリと笑う琉伽。
確かに琉伽の身体は大丈夫だ。少し不安があるとしたら精神面。
ルナティックによって蒸し返された悲しい記憶。
そして暴露されたバーナビーと自分の関係。
前者は琉伽の精神の大変な負担となってはいるが、後者は負担ではないがどう接したらいいかわからない。
「ま、お互い気を付けましょうね。ヒーローですし」
「俺はある意味名誉の負傷だよ」
「それは僕を庇った怪我とでもいいたんですか?」
「バニーちゃん」
うげっ。と小さく呟いた虎徹。
後ろにはバーナビーが今の会話を聞いていたので少し不満そうにしているのが伺える。
そのバーナビーの登場に琉伽は肩を一瞬ビクつかせ、おずおずとその声の主をから遠ざかるように、そして虎徹を盾にバーナビーから死角になるように移動し始めた。
その行動に虎徹は頭に疑問を浮かべたが、どうせ琉伽もバーナビーの嫌みが嫌で逃げようとでもしているのだとあまり気にはしていない様子である。
しかしそれを良しとしなったのばバーナビーだった。
「琉伽」
「ぅえ…はい、なんでしょうか」
「うえって…おいおい」
「挨拶くらいしたらどうです」
「お、おはようごさいまー…す」
「あれ?そう言えばバニーちゃん琉伽の事呼び捨てしてたっけ?」
「オジサンに隠れたままとは良い度胸してるじゃないですか」
「え、俺の言葉無視?ねえ、ねえ」
逃げようとする琉伽に、追うバーナビー、そして話に入れないし無視される虎徹。
カツカツと近づく足音に琉伽は此処から走り去るべきか虎徹の背中にピタリとくっ付いて事態の収束をはかるべきかを思案している。
走り去るとして脚力での負けは目に見えている。なにせ相手はハンドレットパワーの持ち主だ。
ならば背中に貼り付く行為が有効か。しかしそれも得策ではない。
バーナビーの性格からして解る。
ならば普通にするのが得策…ということにしておくしかない。
そうだ、最初から意識しないで、普通に、極普通にしていたらよかったのだ。
「おはようごさいます、ブルックスさん」
「お、こっちはよそよそしいな」
「…朝ご飯は食べたんですか?」
「え、なに?二人どんな関係よ」
「た、食べましたよ!そんなこと言われる筋合いないと思いますけど」
無駄にギクシャクとしている二人。
むしろ琉伽だけが意識し過ぎている気もするが、バーナビーも不自然に琉伽を気にしているようにも見える。
「自己管理くらいちゃんとするように、もう大人なんですから」
「なんだ?琉伽の兄貴気分かバニーちゃん」
「バーナビーです。兄貴気分ではなく兄貴分ですから」
「なっ!ちょ…っ」
え、ちょ、マジでっ!?どういう関係!?と興味津々で二人を見る虎徹に琉伽はローキックを喰らわせた。