TIGER&BUNNY | ナノ
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ゆめなかのこどもとわたし


「おとうさん、おかあさん」


あ、小さい私。
それにお父さん、お母さんも…。
そうか、夢なんだ。

そう思うと不思議と冷静になっている自分を客観的に見ている。

ここ…ああ、あの家だ。
私にとって終わりと始まりの家だ。
自宅ではない、両親の友人の家。
優しいおじさんとおばさん。
そして同じくらいの男の子がいた。


「あら、琉伽ちゃん」

「ほら、琉伽挨拶は?」

「まあ、可愛い」

「バ×××と琉伽は仲良しだな」

「お兄さんだから琉伽ちゃんと仲良くするのよ?」

「琉伽は××ナ×ーくんの言うこと聞くのよ」


「「はぁい」」

「琉伽」

「パニャ」

「ちがうよ、×ーナ×ー」

「パーニャニィ?」


なんだっけ、男の子の名前。
言えなかった事だけ覚えてる。
彼、元気だろうか。
私の能力を見て格好いいと家族以外で褒めてくれた人。
私と男の子、楽しそう。


「さあ、二人とも。良い子はお部屋で寝る準備よ」

「また明日遊びましょうね」


駄目だ。
大人があの部屋に行くと終わってしまう、幸せが。
始まってしまう、悲しみが。
行かないで、行かないで!


「ボクはおにいさんだから琉伽をまもるんだ」

「ボクのて、はなしちゃだめだからね」

「……っ!!」


炎だ。
炎が全て包んでいる。
両親、おじさんとおばさん。
熱かった。
ただ、熱とニオイ。そして恐怖であの時の私は支配された。


忘れてた。
忘れていたかった。
忘れてはいけなかった。

それからは日本に帰国して祖父と暮らした。
祖父は母方で、優しい人だ。
事件のショックで失語症になった私を見守り、育ててくれた。

そして母の死は日本で大きく取り上げられた。
母は世界的に有名な女優であり、世界はその死を悼んでくれた。
でも当時の私には関係ない事だ。
私の母だ。それ以外の何者でもない。だからなんだ、女優がどうした。何のために私は大人に追いかけられなければならない。
学校で言われなければならない、nextで何が悪い。
いつしかその矛先は私の能力になっていた。

私はそれが原因でないのは解っていた。解っていたんだ。
言葉とは恐ろしいもので、周りがそういうから、そうなのだと思ってしまった。

そんな私を今の上司である両親の友人が救ってくれた。
海外にはヒーローと呼ばれるnextが居ると。
私においで。と。



あ、今度は今よりも少し前の私。
初めてヒーロースーツを着たときだ。

次は初めてポイント貰った時。
あ、今度は共闘のとき。

だんだんと近付いてきてる今の私に。