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 コンビニに寄り道

「朱堂、今日これから暇?」
「え?」
「これから寿一と靖友とコンビニ行こうって話になって、朱堂もどうかなって」

部活の主体が私たち2年に移り変わって少し。季節も秋というか、もう冬に近い。
部活の練習は相変わらず忙しくて、でももう2度目の季節となれば大体の容量はわかっているから前ほどツラいと思うことは少なくなった。

「一緒に行く、東堂くんは行かないの?」
「尽八は用事がないってさ」

まあ食事のバランスが〜と言うのかもしれない。荒北くんと新開くんが一緒で食べ物を買わなかったことのないコンビニだし。福富くんもどちらかと言えば東堂くんよりの考えだけど、東堂くんよりも考えは柔軟だと思う。
一緒に行く約束をして、下校の支度をする。一応の校則としては登下校は制服なので着替えなければいけない。女子マネージャー用の更衣室に行って着替えて、校門に向かうと三人が着替えて待っていた。急いだつもりだけど、それでも遅かったみたい。

「ごめんね、遅くなっちゃった」
「大丈夫だ」
「遅くないヨ、オレ達が早いだけだし」
「そうそう。朱堂と違ってオレら着替え簡単だしな」

三人は私に合わせてくれて自転車ではなく徒歩だ。私も自転車通学をする日もあるけど、今日はあいにく朝雨だったので歩きだ。自転車と言っても、部活で使うようなロードバイクではないけど。
それからみんなでコンビニに向かって歩く。今日の私の夕食はコンビニに誘われた時点でコンビニ夕食に決定している。
コンビニに入ると温かい空気と、おでんのいい香りが少しする。

「朱堂は何の用事だあるんだ」
「今日両親帰りが遅くてね、私一人だからコンビニのお世話になろうかなって」
「え、今日朱堂ちゃん一人なの?大丈夫?」
「大丈夫だよ、戸締りちゃんとするし」
「なら寮の食堂で飯食えばいいのに」
「そうすると暗くて帰るの嫌になっちゃうから」

寮があるために食堂での食事はお金を払えば食べることができる。それは朝でも昼でも夜でも。温かい時期の朝はお世話になることはあっても、夜はこの時期あまりしたくない。理由としては暗いから。それに寒い。

「作らないのか?」
「一人だけだからねー。作る方が手間っていうか」
「そういう時便利だもんな」
「CMか」

私がそのコーナーに行くと新開くんもついてくる。
寮の御飯だけじゃ足りないのか、それともデザート目的なのか。

「ご飯系?麺類?」
「んー、麺にしようかな」
「らーめん?そば?うどん?パスタ?」
「パスタもいいけどラーメンも好きだし、おそばのあっさりも好き。うどんも好き」

迷って残りひとつの「限定コラボ!」と書かれたシールの貼ってあるラーメンにする。
ついでだからデザートも一緒に見ようぜと誘われたので一緒に見る。

「お、新商品」
「これ今日の朝のテレビで紹介されてた」
「どうだった?」
「こだわりのクリームで、酸味をアクセントにした濃厚かつ甘すぎず、そして重くならないように軽い風味で老若男女問わず食べていただけますだって」
「よく分かんないけど美味そうだな」
「うん」

買いますか。買いましょうか。と二人でそれを持つ。
私のお目当てはもう確保したのでこれでいい。たぶん私に付き合ってくれていた新開くんに新開くんのは?と聞くと、私のラーメンをみて「オレも同じシリーズの違う味のにする」と同じ商品を持つ。

「靖友、オレたち会計終わったぞ」
「終わったよ」
「朱堂ちゃん何買ったの」
「新開くんと一緒」
「お揃い」
「キモい」
「ごめんね新開くん…」
「酷いぞ、朱堂はキモくない」
「お前だヨ新開」

朱堂ちゃんはキモくないからね!と私に荒北くんは言う。
女の子同士だとしょっちゅうお揃いとか聞くから普通だと思ってたけど、男の子は違うらしい。
そんなやり取りをしている横で福富くんが新開くんの袋を覗いている。

「福ちゃんも同じの買うの?」
「いや、何を買ったのかと思ってな。荒北こそ買わないのか」
「おでんでも買って帰るかなァ」
「いいな、おでん!」
「オメーはもういいだろ」
「朱堂も食べたいよな!」
「…んー」

私が困って黙ると、荒北くんは新開くんのお腹をどつく。
カロリー消費が激しい部活なんだから食べてもいい気もするけど、せっかく寮の食堂でバランスの考えられている食事を台無しにするのはいただけない。そのあたりは荒北くんに賛成します。
結局荒北くんはおでんを買い、福富くんはいい匂いにつられて肉まんを買う。
それから4人でコンビニを出て、私の家の方向は大きな通りがでるまでは3人と一緒なのでそれまで一緒に歩く。

「福富くんが肉まんって、なんか意外」
「そうか?」
「うん、なんかね」
「朱堂ちゃんラーメン好きなの?」
「今日はそんな気分だなけだよ」
「前に奢った時もラーメンだったからサ」
「ああ、あの大盛りな。オレにくれなかった…ラーメンな」
「食い意地張りすぎダロ新開…」

肉まんを頬張る姿に、少しだけ買えばよかったかなと思いながら分かれ道にきて、私は3人に手を振る。

「じゃあね、また明日」
「気を付けて帰るんだぞ」
「風邪ひくなよー」
「また明日ネー」

いつもは一人だし、誰かと一緒に帰るのはテスト期間以来。ちょっとだけ嬉しい帰りだった。



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