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 仲良子よし

※背中合わせ鏡


「奏さんと今泉さんが付き合ってるって本当ですか!?」

部室に響いた鏑木の声に話題の今泉俊輔は吹き出し、鳴子は大笑い。小野田は困ったように笑っていた。

「…どうしたの、いきなり鏑木くん」
「だって、皆言ってますよ。あの今泉さんと奏さんが下の名前で呼び合ってるって」
「イキリ、奏ちゃんとスカシの苗字考えてみ?」
「同じ今泉です」
「ということは」
「……同じ苗字だから?」
「だから?」
「…!そうか、お互いに今泉って呼ばないとだから!!」

これか!と鏑木がひらめいたように言えば、鳴子はまたまた大笑い。小野田もそれにつられて笑っている。ただ面白くないのいのはその今泉だろう。なんとも面白くなさそうにしてムスッとしている。

「二年、今泉奏入ります…?」
「あ、奏さん!」
「ど、どうしたの?なんか鳴子くんと小野田くん…」
「あひゃひゃひゃ!まあ、知らないとそんなもんだよな、イキリ!」
「だ、駄目だよ…そんな、」
「どうしたの?」
「オレと奏が付き合ってるのかって聞いてきたんだよ、イキリが」
「あー…そっか…」

新入生だから仕方ないよね。と困っている奏に、鏑木は頭を傾げる。
噂ではイケメンと名高い今泉俊輔と今泉奏は付き合っている。でも今の話では付き合ってはいないが同じ苗字だから下の名前で呼んでいる、ということではないのだろうか。

「俊輔言ってないの?」
「言う前にお前が来た」
「それで、お二人は付き合ってるんですか?」
「俊輔と付き合う、か…なんか大変そう」
「どういう意味だ」
「気難しいっていうか、なんていうか」
「それ奏ちゃんに言われたらオシマイやわ」
「え、私もそんなかな」
「ちゃうちゃう、そういう意味やのうて」
「今まで一緒にいた奏さんに言われるとってことじゃないかな」
「そうそれや」

うるさい。と言わんばかりに今泉が鳴子の頭を叩き、ついでに「お前も言うようになったじゃねえか」と小野田をにらむ。
それで二人は付き合っているのかと再度鏑木が聞けば、奏がちょっと考えてから答えた。

「私と俊輔は双子なんだよ、鏑木くん」
「まったまたー」
「似てへんやろ、でもホンマやで」
「寒咲さんが証人だよ、僕らも最初驚いたし…」
「知っててもスカシん家行ったら奏ちゃんおって驚いたけどな」
「なんで居るん!?て言われて私も驚いたよ…あの時」

私服可愛かったで。と鳴子がいえば、またスパンと頭を叩く。いつもなら口で馬鹿にするのに今回に限っては手が出ている。
それにしてもこの二人が双子?と鏑木はまだ信じられない。それは二人に共通するのが苗字くらいしか思い当たらないからで、顔は確かに二人とも整ってはいるが正直あまり似ていない。

「いい加減にしいや、このシスコン!」
「オレのどこがシスコンだ豆粒」
「そういうところや!お前奏ちゃん関係になると手が出よる」
「双子だけど付き合ってるんですか?」
「付き合ってないよ、鏑木くん。双子だよ、双子。私と俊輔は双子だよ、覚えて」

でも奏さんの事なんか言われると怒るって、そういうことでしょ?と意味の分からないとこを言ってくる鏑木に奏は困ってしまった。双子の片割れに関して言えば、自分がドン臭いから心配している延長線の事だし、まずそういうことはない。

「奏いるー?」
「幹、幹からも言ってよ、私と俊輔は双子だよって」
「え、また?それよりもこっち手伝って」
「うん、わかった。今行く」
「……で、二人は」
「双子だ、二卵性の。似てないのはそんなもんだからだ」
「仲ええねんで、二人」
「まあそれが周りを勘違いさせちゃうんだよね」
「どういう意味だ?」
「鏑木くんが聞いた事になるってことだよ、今泉くん」

僕らさも最初付き合ってるのかと思ったし。と小野田がいえば、今泉は固まった。




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