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「…は?」

私の目の前で、いつか部活を手伝ってくれた…えーっと、宮原さん?がポカンとする。
きっと彼女の性格が表れているのだろうと思われる、そのきっちりと前髪をまとめ、曇りのないメガネ。それにまた綺麗な髪も二つに分けて結ばれている。
そんな彼女がこの真波くんと幼馴染で、きっとお姉さんの様に接していて、今の報告に驚かない方がもしかしたらオカシイのかもしれない。
だって真波くんだし。

「だから、俺と奏さんと付き合ってるんだ」
「…はあ!?」

交互に私と真波くんを見る宮原さん。
それも部活のメンバーで予習済みだ。ごめんね皆。それにしてもちょっと笑ってしまうくらいに同じような反応で少し笑うと、宮原さんがはっとした顔をする。

「す、すみません!別に先輩を…えっと…」
「ううん、ごめんね。部活の友達と同じような反応だから笑っちゃった」
「あ、あの…先輩、本当なんですか?」
「委員長、俺が嘘ついてると思ったの?酷くない?」
「真波くん信用ないんじゃない?」

時間守らないし。と私が言えば、宮原さんもそれには同意見なのか力強く頷いてくれる。

「だ、だって朱堂先輩と言えば、自転車競技部のマネージャーで仕切ってて後輩からは絶大の支持を集めてて優しくて素敵な先輩でしょ!?山岳には…えっと…その、」
「奏さんのことそんな風に思ってたんだ委員長」
「宮原さん、それマネージャーしかあってないから多分大丈夫だよ」
「全部本当じゃない?奏さん」
「壮絶な支持は集めてないと思うし、優しい?なにより素敵かどうかを聞かれれば…ハイとはちょっと言えないかな…」

なにが大丈夫かといえば、私はそんなに優秀な先輩ではない。という事だと思う。
驚いたのは彼女の中の私はスーパーウーマンというのか、とても優秀な先輩に仕上がっていた事だと思う。接点と言えば、アレから廊下で会うと軽く会釈するとか、あまりないに近いものだったのに。どうして宮原さんは私そんな印象を持ったんだろう。

「だって山岳が…」
「真波くんが?」
「すごく、先輩の話するから…」

ふむ。と思って真波くんを見る。すると当の本人はキョトンとして「俺何か変な事言ったっけ?」とこちらも頭を傾げている。
私としては、そんな風に過大評価をしてもらっているのはちょっとだけ恥ずかしい気持ちと嬉しいような、ちょっと不安な様な気持ち。たぶん、ちょっと照れくさいって言うんだと思う。

「朱堂先輩は2年の先輩にも尊敬されてるとか、いつも成績が良いから他の先輩の先生になってるとか、お菓子作るのが上手とか、他の人の面倒とかすごくよく見てくれるとか…」
「………」
「あ、奏さんが照れてる」
「な、なんか…そういうことを、言われるのは…慣れてないんだもん…」
「えー?そうなの?じゃあ俺いっぱい言うよ」
「ちょっと!こんなところでイチャつかないで!!」

せめて私がいないとこでしなさいよ!山岳!!と宮原さんは顔を赤くして怒る。
そんな宮原さんが私は少しだけ可愛いと思った。それをいったらきっと宮原さんはもっと怒ってしまって、その感情を真波くんにぶつけるだろうから言えないけど。
それでもなんだかとっても可愛いなと思う。




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