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 白衣と作業着

※箱学マネが洋南に進学していたら


「お、奏ちゃん白衣か」
「金城くんとお揃いです!」
「朱堂とお揃いだ」

ふん。と誇らしげに胸を張る朱堂ちゃん。朱堂ちゃんはオレと同じく洋南に進学したけど学部はなんと金城と同じ理工学部。なので金城と同じタイプの白衣を着ている。あえていうなら金城とお揃いじゃない。
オレと言えば待宮と同じ学部なもんだから作業着が朱堂ちゃんで言うならお揃いだ。

「荒北くんも待宮くんも似合ってるよ」
「奏ちゃんは女医さんぽいのう」
「気持ち悪ぃ笑い方してんじぇネェよ。つうか朱堂ちゃんを厭らしい目で見んなボケェ」
「じゃあ金城くんもお医者さんだね」
「奏ちゃんはマイペースじゃ」

理工学に女子がほとんどいない。なので朱堂ちゃんは人気が高いし、同じ高校の誼で余計なお世話だと思うが心配だ。誰かと付き合おうと朱堂ちゃんが選んだ人間なら文句はないが、それでも変な男に食われるのは面白くねぇ。そんなジレンマを知ってか知らずか金城が何気にガードしてくれている。

「金城と一緒になにしてんノォ?」
「同じグループなんだ」
「酷いんだよ。聞いてよ荒北くん、教授が『グループ作るけど、女子はバラけてね』って言うの。女子で固まろうと思ったのに!」
「変な男は居ないから安心しろ」
「…へん?」
「朱堂は気にしなくていいからな」

はははは。と笑う金城に頭を傾げる朱堂ちゃん。何かを察して待宮はオレを見てニヤニヤしている。変に勘違いしなければ気にしないが、勘違いが面倒だ。あとで一応言っておくか。

「そうだ、先輩から連絡なんだけど、今日はサークル休みだって」
「なんでぇ?」
「そんな連絡回っとらんよ」
「さっき先輩が言いに来ていたぞ。携帯が壊れたとかで連絡が出来なくて適当に目についた奴に言っているらしい」
「それで今金城くんと1年に連絡まわそうかって話してたんだ」

朱堂ちゃんは自分の好きなサークルに入ればいいのにまた自転車のサークルに入ってマネ^ジャーをしている。でも他のサークルにも入っているので高校の時みたいにどっぷりってわけでもない。学部が違うけど取っている講義が被るのもあるから、高校の時みたいにしょっちゅう顔を合わせることはないがそれなりには話している。金城と待宮は気にするも何も高校が違う。

「待宮くんと荒北くんには言えたから、他の人だね」
「LINEしておくか」
「じゃあ私ガラケーの子にメールするね」
「……二人は仲良しさんじゃの」
「…そう?」
「荒北と朱堂程じゃないさ」
「荒北くんとは一緒の高校で同じ部活だったから。他の人とは一緒にいた時間が違うよ」

最初私荒北くん苦手だったしね。とさらりと言う朱堂ちゃんに意外だと言わんばかりに二人がオレと朱堂ちゃんを交互に見る。
まあそうだろうよ。今じゃそんな雰囲気はない。
最初の時、というか入部かどうかのうやむやな時期のあの朱堂ちゃんのビビり具合は今でも思い出すと笑えるくらいだ。まあその時の朱堂ちゃんは他の部員にもビビりまくりだったから、その中でもオレが抜きん出てビビられてたんだけどヨォ。

「それは意外だな…」
「でも今じゃ仲良しだよね」
「ソーネー」
「荒北くん結構世話焼きで、よくお世話になりまして」
「朱堂ちゃんもデショ」
「というより、箱学のメンバーが世話焼かれる側だったよね…」
「まあねェ…」
「それに比べて金城くんは私の世話を焼いてくれて…」

ちょっと箱学メンバーが恋しいな。とこぼす。

「…奏ちゃん、マネージャー気質じゃのう」
「そうかな」
「金城と気が合うのがわかる気がするわ」

うっかり頷いてしまった。



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