恋する動詞111題 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


「わー…あ?」

大きな大きな廊下の隅っこ。
そこには良く見知った武将が蹲っているではないか。
何かなくして探しているのだろうか。それとも具合が悪いのか。
まあ、興味本位で驚かしてやろうと思ったのがいけなかった。

「ど、どうかされたのですか?」
「…な、なんでもないよ」
「なんでもないわけないでしょう!?そんなにお泣きなられて…」
「これは…なまえが驚かすからだよ。びっくりして涙がでちゃった」

あは。と笑うが目からは涙がまだポロリポロリと零れている。

「どこか具合でも…」
「大丈夫だよー?なまえは心配性だね」
「鼻が垂れておりますよ」
「わあ、そりゃ大変」

ずびずびと鼻をすする音。

「私が驚かせてしまったせいだと言われましたね」
「そうだよ、もうなまえったらお転婆だよね」
「ではその始末、つけさせていただきますね」
「…ん?」

持ち合わせていた手ぬぐいでその涙を拭ってやって、唇に人差し指を当てる。

「私がこうしたこと、秘密ですよ?」
「…どっちを?」
「さあ、それは馬岱殿にお任せいたします」

なまえってば、罪作りだね。と隠れるように二人で笑った。