「またこんなに…」
どれだけ散らかせば気が済むのですか。となまえが叱る。 しかしそんな事は我関せずと私は口を開かずに唸るように「んー」と返した。 だって今いいところなんだ。
「聞いていらっしゃるのですか」 「聞いてるよ」 「嘘おっしゃらないでください。そのような生返事ではもう騙されませんよ」
膝の上に乗せておいた書物がなまえの手によって奪われ、なまえが怒って様子で座る私を見下ろしているではないか。
「だって、こうしていると私は本を読んだままなまえが構ってくれるからね」
と笑うとなまえは呆れた顔をして大きな溜息をついた。
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