「一体何をそんなに見つめる」 「え…?」
鐘会はなまえの前にずいと出て問う。 なまえからしてみれば、鍾会の後ろの庭にある木にとまる鳥を眺めていたのだ。 ああ、またこの季節が来たなと。
「いえ、別に…」 「私を見ていただろう」 「…え?」 「私を見ていたのだろう」 「あの、いえ…」
すると意味のない講釈を述べ始める鍾会になまえは困る。あまり口が上手い方ではないなまえにとって、鍾会のように話す人間にはどうしたらいいか分からないのだ。
「と、とりを…」 「…鳥?」 「また、あの鳥が、来たなと思いまして…その、」 「……ふ、ふん!!お前が私と話したそうにしていたから話しかけてやったと言うのに、お前と言う奴は礼の一つもいえないのか!!」
その後ろで司馬昭が「それは言いがかりにも程があるぞ」と言っていたのをなまえは聞き逃さなかった。
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