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「もうすぐ、サヨナラなんだね」

「そうじゃな…色々あったのう…」

「嬢ちゃんは捕まり、朔弥は妲己んとこにいたしな」


三人仲良く並んで別れを惜しむ人々を眺めている。
三人は特に仲良くなった者も居なかったので声を掛けられれば返答を返すくらいだ。
ただ孫市がやたら女性陣には色目を使い、ガラシャがむくれていたのを朔弥が見ているというくらいだ。


「…戻ったら、みんな何処にいるんだろうね」

「そうじゃのう…」

「此処にくる前の場所じゃねえか?」

「ならば三人一緒じゃの」

「あ?そうだったか?」


そうじゃ!と怒るガラシャ。
わらわと孫と朔弥で移動しているところだったのじゃ。と孫市に思い出すように言う。
孫市は、んな前の事覚えてねえよ。と面倒臭そうに返す。


「…そっか」

「あ?」

「どうしたのじゃ」

「もう、三人でいるのが当たり前だったんだ…」


最初は孫市だけ、次に私、最後にガラシャになったんだね。と改めて言う朔弥にガラシャがうんうんと頷いた。


「あー、俺って優しいよな。無愛想だった朔弥拾って銃の扱い教えて育てて。最後にゃ嬢ちゃんまでついてきてるしよ」

「貧乏くじ引いてんじゃないの」

「おま…それ言ったらお前自身の価値下がんぞ」

「そうじゃ、むしろわらわは二人に会えて幸運じゃぞ!」


検討ハズレのガラシャに二人は一緒に笑い始めた。
そうだ、三人でこんな事を話ながら歩いていた。
朔弥が馬に乗れないと知っている二人は歩きの方が体力が付くし楽しく行ける。と言って励まし、ガラシャが孫市に相手にされないとむくれれば朔弥がガラシャの背中を叩く。
そんな風にしていたのだ。


「私、また二人と一緒にいたいな」

「何を言うか、わらわ達は一緒じゃ!のう、孫」

「げ、嬢ちゃんまだ一緒についてくんのかよ」

「孫ぉ!!」

「まだ…一緒にいてもいいかな」

「…いいんじゃねぇ?」

「当たり前じゃ!ずっと、ずぅっと一緒じゃ!」


周りが淡く滲み始めた。
どうやら最後の時というやつか。
遠くで曹丕と三成が別れを惜しみ、超雲と幸村は語り合っている。
稲姫と星彩は抱き合い、お互いを忘れないと語らっているのだろうか。


「もしも朔弥が違う所に行ったとしてもわらわと孫ですぐに見つけるのじゃ。朔弥が悪さをされるまえにカッコ良く登場じゃ!」

「うん、絶対見つけてね」

「任せるのじゃ!のう孫」

「そーさなあ、朔弥が可愛くお願いするならやってやらんでもないな」

「…お願い、ね?」


孫市とガラシャの前にでて、屈んで両手を合わせて小首を傾げてお願いする朔弥。
一呼吸おいて三人で笑いあううちに視界が完全に滲んで、意識も溶けた。

私が戻るのは戦国じゃないかもしれない。
でも、それでも
戻るべき世界か戦国でなくても、忘れない、忘れたくない。
現代であっても捜しにいくから。





〈了〉


朔弥が戻ったのは戦国か、はたまた…?

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