無双 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


意外にも左近と意気投合してから幾刻か、会場の人間もまばら。
それでは御開きにしましょうと皆自室に戻った。


「…月がある」

「基本的には同じらしいぜ」

「まあ、太陽あるしね」

「なんだ、驚かねえのか?」

「一から十まで聞いてほしいなら聞くけど」


帰り道で朔弥がなんとなく呟くと、悟空が前と同じ様に顔を上から覗かせた。
悟空のいうのはいままで顔を合わさなかったことだろう。
朔弥には朔弥の事があるように、悟空にも悟空の事があるのだ。
それを問い詰める間柄でもなければ、その必要もないのだ。


「もうずく悟空ともサヨナラだね」

「…そうだな」

「悟空も元の世界に戻るんだよね…周りは悟空みたいな猿の妖魔なの?」

「いや、俺というか妖魔自体が珍しい」

「へえ…」


朔弥が手すりに手を付き、片方の手で頬杖をついて悟空と話を始めた。
妲己の元にいたころから交流はあったが、この様に話す様になったのは此方に来てから。
悟空は遠くから朔弥が妲己や卑弥呼と話すのを見ていたが、朔弥は大抵聞き役をしていた。


「私、何処に帰るんだろ」

「あのオッサンと一緒じゃねえの?左近とか言う」

「…悟空は私と左近殿の関係はどう思ってんの?」

「…仲間?」

「広い意味では間違ってない…かな」

「ああ、お前傭兵してたとか言ってたっけ」

「そ、傭兵。その傭兵稼業は孫市に教えてもらった」

「ああ、あのタラシな。んじゃソイツんとこじゃね?」


悟空は朔弥が戦国以前に違う世界、時代にいたことを知らないのだ。
とにかく朔弥は自分の世界でも無ければ三國でもない、そうなるば戦国だ。
何も知らない悟空の言葉に朔弥は「そっか、そうだといいな」と笑った。

/