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「おや、朔弥さん。もう帰るんで?」

「酔っ払いの相手は疲れました…」

「まあまあ、そんな事仰らず。左近に酒を頂けませんかねえ」


散々孫市とガラシャに絡まれ、やっと自由になったと思い、歩いていたら左近に呼び止められた。
左近には色々と世話になっているので、その申し出を受けた。


「次は私もいただいてもよろしいでしょうか」

「はい、幸村殿。兼続殿もいかかでしょうか」

「ああ、貰おう」


左近、幸村、兼続と酒を注いでいく。
三成の姿が見えないと思い、聞いてみると「曹丕殿と一緒だ」と言われた。
そういえばこちらに来てからあの二人はたいてい一緒にいる。
どうやら兼続と幸村以上に波長が合うようだ。


「曹丕殿の奥方、とても綺麗ですよね。羨ましい、私も甄姫殿や濃姫殿の用に色気があればいいんですが」

「なに、朔弥も十分女らしいではないか。あれらが女らしいと決めつけるな」

「そうですよ、朔弥殿は朔弥殿で素敵ですよ」

「ええ、なんせ妲己から貰った着物もあのお二人並に足が見えていて十分色気ありましたよ」

「あれは着物に着られていたんですよ」

「御謙遜を。朔弥さんのあの脚の線はなかなかのものですよ」

「おお、奇遇だな私もそう思っていた」

「確かに朔弥殿の脚の線は美しいですよね」


朔弥は固まってしまった。
なんと言うことだ、ここの男共は自分をその様に見ていたのだ。
これは怒ればいいのか泣けばいいのか驚けばいいのか。
正解はどこにもないのかもしれないが。


「なにより見えそうで見えないとこらがいいじゃないですか」

「ああ、その気持ちは同感です」


見えそうで見えない、浪漫ですよね。
左近の意見に急にのりだした朔弥。
自分がするかどうかは別でそのような格好を見るのは大好きなのだ。


「女カ殿の格好も目の保養ですよね」

「おや、案外いけるクチですね。」

「ああいう格好、見るのは大好きです」


盛り上がる二人を兼続と幸村は酔いながら仲がよいと意味もなく感心していた。

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