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「酒臭い」


戻ってみればドンチャン騒ぎの会場。
朔弥がその会場を離れてそう時間は経っていないハズだ。
政宗と慶次、卑弥呼をぐるりと回っただけだ。
その帰りにたまたま、ねねと出会い(厠の帰りだと言えばあっさり納得してくれた)、強制的に女の格好をさせられてしまった。
辺りを見回していると孫市が朔弥を見つけ、手招きをしている。
その横にはガラシャがいるのが見える。


「女の格好はやっぱいいな、おい」

「…酒臭い」

「んな嫌な顔すんなよ」

「酔っ払い」

「冷てぇな」

「朔弥は冷たいのじゃ」


孫市の隣のガラシャを見れば、その手には御猪口。
よくよく見てみれば、顔もほんのりと赤味がさしている。
この時代で何歳で酒が飲めるとか、女も飲んでいいのかは朔弥は知らなかったが、何もガラシャにまで飲ませる事ないのではないかと思った。
ガラシャの性格からして飲み過ぎるだろうし、酔ったら質が悪そうそうだ。


「ガラシャも飲んでるの?」

「わらわはもう大人じゃ。飲むに決まっておる!」

「こいつ朔弥より良い飲みっぷりだぜ?」

「……ハメ外すなよ、二人とも」


冷めたように朔弥が二人に言うと、孫市とガラシャは顔を見合わせてニコニコ笑っている。
ああ、もうかなりの量を飲んだのか。朔弥は感じ取った。


「わらわは大人じゃからハメは外さぬ!のう孫!」

「んなヘマしねえって」

「…そう、ならいいけど」

「朔弥も飲むのじゃ!わらわが注ぐのじゃ」

「そうだそうだ、朔弥も飲め」


酔っ払いに構っていい事はない。
適当にあしらってどこかに紛れ込むか、早々に退散した方が良さそうだ。

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