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「げ」

「どうした三成」


なんとも不可解な声を上げた三成。
その横にいたら曹丕は眉をひそめた。
見れば目の前に見たことない小柄な男が二人に向かい歩いてくる。
男の背負っているのは確か雑賀孫市とかいう男が持っていた武器に似ている。
一般兵が持つにしては立派だが、あの雑賀が持っていた物に比べれば見劣りがある。


「知り合いか」

「ま、まあな」

「何故そんなあからさまに嫌な顔をする」

「三成殿に曹丕殿、こんにちは」

「……もしやお前、朔弥か?」

「ええ、朔弥です。…ああ、この格好では初めてお会いしますから、見慣れずわかりませんでしか?」

「ほう、かわるものだな」


そうか、曹丕は知らないのか。と三成は思った。
朔弥は元々、いや、三成達と知り合った頃は男装していた。
そして秀吉の元に厄介になったときにねねが朔弥に女の格好…と表現するのはおかしいが、そうさせて周りを驚かせていた。
今はその逆で、しかも女らしい表情をしているのであの時ほどの差はない。


「男装して何処へ行く」

「男装では…ないのですが…。腕も動くようになったので久しぶりに訓練をしようと思いまして」

「ほう、お前は雑賀であったか。だからあの男がやたらと朔弥に関わっていたわけか」

「これでも腕は良かった方なんですよ」


そうか。と関心する横で朔弥を睨む三成。
だいたい朔弥のその格好にいい思い出のない三成。
どうもその格好をしていると警戒してしまう。

しかし、朔弥の様子が前と違う。
最初にあった酒の席、無愛想な奴だと思った。
次にあった時もいけ好かないと思った。

でも今目の前にいる朔弥は表情豊かだ。
これが元々の朔弥なのかもしれない。
今まではずっと抑えつけて、周りに警戒していたのは朔弥だったのか。


「それでは失礼します」

「ああ、鍛錬に励め」

「はい」


朔弥は軽く頭を下げると小走りに消えた。

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