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「お、お尻…が」

「このくらいでねを上げるな」

「そんな事、言われても…」


そもそも一人で古志城に行くのが間違っていたんだと思った。
あと兼続に話したことも。
今の朔弥は丸腰で外に出るのは危険。
兼続は正義感にあつく、朔弥に慶次を助けてもらった恩があるとなんとしても朔弥の力になろうとしようとするからだ。
しかも兼続と相乗りとなり、恥ずかしい事この上ない。
後ろならまだしも、前なのだ。
後ろが良いと申し出てはみたものの、何故か遠慮するなと乗せられてしまった。


「さっさと行くぞ。ここで尻が痛いと言っている暇があるならな」

「す、スパルタ…」

「すぱ?」

「いえ、なんでも…ないです、はい」


自分の尻をさすりながらヒイヒイ言う朔弥に「愛が足りん!」と何故か渇を飛ばす兼続。
世の中何でも愛や義で成り立っているわけじゃない。と心底言いたくなった。


「して、その銃は何処にある」

「私が使っていた部屋か妲己の部屋…もしかしら武器庫?」

「では何処が近い」

「ここからだと…妲己か私の部屋ですかね」

「ではそこから探すぞ」

「えっ」

「なんだ」

「いや、女性の部屋を男性が無断で入るのはいただけないかと…」

「朔弥がいるではないか、何か問題あるのか?」


朔弥はその時確信した。
こういうタイプの人間にこの手の事を話すのは無駄だ。うん、無駄だ。
幸いにも妲己は捕縛されているし、朔弥も昔使っていたというだけで見られて問題があるわけでなし。
朔弥は「いえ、なんでもありません」と開き直った。


「では行くぞ」

「そうですね」


できれば妲己の部屋にありますように。
何もないとはいえ、自分が使っていた部屋を見られるのはあまり気持ちのいいものではない。

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