肩が熱い。
そう思って目が覚めるのは2度目だろうか。
目を開ければいつか見た天井。
ここは朔弥に与えられた連合での居場所。
動く手を見れば、あの時の血の色は綺麗に消え去っていた。
どうやら城に帰還したらしい。
覚えているのは悟空の奇襲があったところまで。
戦には勝ち、首謀者達は討伐されてしまったか。
もしくは捕縛である。
「朔弥ー、今日は目が覚めるといいのじゃ」
「ガラシャ、そんなに騒いだら朔弥が休むに休めないだろう?まったく、この子は」
「朔弥はそんな事で文句言わないのじゃ」
「ほら、朔弥の包帯変え、るの…」
「おねね、様?…ガラシャ…」
ガラシャと共に部屋に来たねねは朔弥が気がついた事に喜び、持っていた救護道具を落として朔弥に駆け寄った。
勿論ガラシャも泣きそうな顔をしてきた。
「ああ、よかった…よかった朔弥。目が覚めたんだね、長いこと眠ってたんだ、喉が乾いたろう?お水を持ってこようね、お腹はどうだい?空いたろう?お腹に優しいもの作るから少しお待ちよ」
「朔弥!やっと起きたのじゃ…お寝坊も程々にしないと駄目なのじゃ!わらわは父上に叱られてしまうのじゃ!」
「ガラシャ、ガラシャはお水を持っておいで。あと皆に知らせておいで。私は朔弥に粥を持ってくるから」
「うむ!」
嵐の様だ。ときっと表現するのだろう。
言いたいことを言ったら二人は一目散に部屋を出て行った。
そういえばこれは前にも見た光景だ。
いや、嵐はこれからくるのかもしれない。
皆どんな顔して怒るだろうか。
左近にはもう怒られたから出来れば勘弁してほしい。
兼続はきっと怒るだろう、幸村は泣いてしまうかもしれない。
三成には死に損ないと言われ、孫市は鼻水を垂らすだろうか。
そう言えば悟空はどうしただろうか。
あのあとちゃんと逃げられただろうか。
「……悟空」
「あん?」
「うあああ!!??…つぅ!」
「…お前、呼んどいてその反応は無いだろ」
「な、んで…?」
「あー?お前が逃げろなんていうからヤル気失せたんだよ。ただ逃げんのも面白くねぇから離反してやった」
「…馬鹿?」
「ああ?!馬鹿はそっちだろうが」
「…うん、私、馬鹿だね」
「……おう」
「悟空」
「…なんだよ」
いい加減窓の外から、しかも逆さまにいるの変態くさいからやめて。と悟空にいつもの調子でいう朔弥に悟空は笑った。
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