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「まったく…なに考えてるんだい!!」

「おねね様…そのように怒鳴らなくても」


結局政宗は朔弥が捕縛したという名目で幸村と兼続が捕縛した。
朔弥が術で政宗を移動させようとかしたところを二人にやっては駄目だ、言うことを聞かないとここで政宗の首をとると脅されてしまった。
ではどうしたらいいかと訪ねれば馬で護送するしかないと返答がきた。
二人に頼んで次に行かねばと思った時の事だ、兼続に「お前も行くのだ、その怪我ではそれこそ満足にうごけまい」と強制的に馬に乗せられた。
しかも兼続に抱えられて。
拒否したがそのまま逃走して野垂れ死ににでもなられたら夢見が悪いとまで言われてしまったら反論出来ない。
それで大人しく兼続に抱えられ、本陣に帰還した。
適当に手当てをしてもらったら早々に戦場に戻ろうとしていた朔弥であったが、丁度負傷したねねに遭遇してしまったのだ。
朔弥の血だらけの姿を見たねねは自分の負担など二の次で朔弥の介抱をした。
その最中に朔弥は怒鳴られた。


「このくらい、平気です」

「平気なわけないでしょう!こんなに血を流して…大怪我じゃないか!」

「遠目だったのでよく分かりませんが、朔弥殿、撃たれたのでしょう?」

「本当かい幸村!」

「ええ、朔弥の肩から血が飛ぶのが見えました」

「ほら朔弥、兼続も証人だよ。……だからこんな傷口に…」

「でも、痛くありません」

「ほう、どれ」


突如後ろから声がしたかと思った瞬間のこと、誰かが朔弥の肩を思いっ切り掴んだのだ。
それには予想していなかった朔弥は声にならない悲鳴をあげ、肩を抑えうずくまってしまった。
痛くないと言えば嘘になるが、精神が興奮していたので痛みは抑えられていた。
それが仲間の顔や、今の刺激で完全に呼び起こされた。


「こら三成、朔弥は大怪我してるんだよ!!」

「どれだけ疲弊しているかと思ったが元気なようですよ、おねね様」

「……鬼」

「なんだ、言いたい事があるなら言ってみろ」


うずくまる朔弥は小さく呟いたが、それは無視された。
あまりの痛みに朔弥の息も次第に荒くなり、脂汗が滲み出ている。
さすがにこの状態で戦場には戻れないだろうとその場にいた誰もが思った。


「これで暫くは動けまい。おねね様、今のうちに手当てを」

「三成…やり方は荒いけどそれなりに朔弥の事思ってたんだね」

「おねね様、今そんな事言ってる暇ありせんよ!朔弥殿が!」


三成のトドメの一発が効き過ぎた。
朔弥はそのまま意識を手放したのだ。

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