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「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


暴れる朔弥の妲己の呪縛を仙界の三人が解いてくれたのは良かった。
それまで大の大人の男が数人がかりで朔弥を押さえつけていたのだ。
おかげで朔弥の身体には見える限りではあるが、無数の内出血が見える。
呪縛がとれ、見慣れた幸村、兼続、孫市を見て朔弥は涙を流した。
孫市が「悪い夢は終わった」と朔弥の頭を撫でると、彼女は謝罪の言葉を連呼した。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「朔弥殿が謝る必要はありません、全て妲己の仕組んだ事です」

「そうだ朔弥。お前は妲己の手駒にされていた被害者でしかないのだ」

「でも、でも…私、皆さんに悪いことしました…酷いこと、言いました」

「それはおぬしの意識であって、そうではない。おぬしが気に病むことはないんじゃ」


伏犠も朔弥を落ち着かせにかかるが、まるで効果はない。
朔弥は暴れはしないものの、嗚咽をあげ、泣きじゃくっている。
再度孫市が朔弥に触ろうとすると、その気配を感じてか酷く警戒までする始末。


「妲己はこれも計算の内か」

「女カ?」

「万が一にこちらに捕縛され、元に戻されたとしても自己嫌悪に陥る者は使えまい。とな」

「あの女狐、そこまで見ていたか」


嫌に納得している太公望と女カを後目に朔弥を知る三人は困惑した。
これでは朔弥をなだめる事も出来なければ、休ませる事もままならない。


「そんな自分責めんなよ。嬢ちゃんがお前の事心配してたんだ、嬢ちゃんに元気な姿見せてやれよ、な?」

「ガラシャ…私、ガラシャ、か、お合わせ、られな…」

「朔弥殿、今は泣き止んでは貰えませんか?今は休まれた方が」


それでも泣き止まない朔弥に痺れを切らした兼続は「ええ、いい加減にしろ!」と怒鳴りつけると朔弥は一瞬顔をあげ、兼続をジッと見ると再び泣き出した。
それにはその場にいた者に睨まれた兼続。
しかしこれでは朔弥が哀れだ。
泣き止ませる方法がなければ泣き疲れて眠るのを待つかしかない。


「仕方ないのう」


伏犠が朔弥に近づき、朔弥の目線に合わせる様にしゃがむと「許せ」と朔弥を手刀を振り下ろした。


「よし、朔弥の手当てをやってやらねばな」

「それはこっちで手配するから、朔弥から離れろ」

「なんじゃ孫市」

「朔弥になにか良からぬ事されたら困るんだよ」


なんとも必死な表情で伏犠を止める孫市がなんとも滑稽で、女カは笑った。

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