「妲己も面白い事をしたものだ」
「人の子に我らが武器を持たせるとはな」
「して、どうする?」
劉備の元に身を寄せていた太公望、左近の元にいる伏犠、曹操と行動していた女カ。
仙界の仙人が顔をあわせ娘の事で話し合っている。
そこに朔弥を知る数人も同席しているが、話が見えてこない。
朧気に見えているのは孫市だけだ。
「では、あの女は本当に朔弥さんで?」
「…そうらしい」
「嘘じゃ、朔弥はもっと優しいぞ!?わらわに、あんな風に脅したりしないのじゃ…」
「妲己に操られると言われれば、その辺りは合点がいくな…」
「朔弥殿…」
三人の仙人は妲己の捕縛、遠呂智の復活阻止を目的として来ている。
妲己討伐には仲間が多い方がいい。
そこで朔弥を自分達の傘下に入れたいが、それには問題がある。
一つ目は髪飾りにもなっている呪布の存在。
ある程度の長さはあるが、斬るにしても目標が小さい。
次に朔弥の武器。
羽衣の様な布だ。
あれは以前幸村と左近が苦戦している。
最後は朔弥の術。
危ないと判断してしまえば朔弥は己の術で戦線を離脱する。
「呪布なら俺が引き受ける」
「ほう?お前は余程腕に自信があるのか」
「これでも雑賀の頭領だ。自信がなけりゃ出来ねえよ」
コイツで撃ち抜いてやる、と傍らの銃を持ち上げてみせた。
戦国で孫市の腕は名高い。
まず外しはしないだろう。
「それじゃあここからは軍師の仕事だ」
「左近、おぬしに考えでもあるのか?」
軍師を舐めなさんな。と左近はニヤリと笑った。
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