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「おい、お前。お前はあの娘の知り合いか?」


利家と行動と供にしていた。
このワケのわからない世界で正体の分かる相手と一緒にいることは自分の安全にも繋がる。
一緒に連れ立っていた朔弥の事がずっと気掛かりだったが、朔弥は朔弥で美味くやっていると信じていた。
運良く幸村辺りと一緒であれば、面倒を見てくれているだろうと。
しかし妲己の軍に窮地に追い込まれ、そこに朔弥と瓜二つの女がいた。
俺が朔弥と呼んだら心底嫌そうな顔をされた。
あと一歩というところで援軍に助けられ、今俺の目の前には女神のように美しい仙人がいる。


「…わからねぇ」

「わからないとは難儀だ。あの娘の名を呼んだではないか」

「朔弥に、瓜二つだったんだ。ああ、朔弥ってのは俺の部下で…」

「妲己の部下に成り下がったか」

「それはない!…朔弥は、んなことしねぇ」


そう言うと仙人、女カと名乗った仙人は己の顎に手を当て、悩む素振りを見せた。
そこに曹操となのった男が近寄りどうしたのかと尋ねてきた。


「おそらくあの娘はお前の知る朔弥という者だろうな」

「呂布と同じで遠呂智に下ったのか、お前の部下は」

「朔弥はんなことしねぇ!アイツは…」

「娘の頭に呪布が着いていたのを覚えているか?あれで娘の記憶を操作して妲己の玩具になっているのだろう」

「なっ…じゃあ、朔弥…なのか?」

「あの娘の持っていた武器は本来仙人しか扱えぬ。私にはアレが人か仙人かすぐわかる。あの娘耳飾りはその武器を扱う為のものだ」

「では女カ、その呪布をなんとかすれば、娘はこちらに下る。という可能性が生まれるな」


そういうと曹操はニヤリと笑って見せた。
どうせこの男は朔弥を引き込もうという算段なのだ。
それではこうしてはおれぬ。と退却の準備を急がせた。


「あれは、朔弥なのか?」

「その可能性は大いにある。違う可能性もあるが、そちらは極端に低い」


一旦退くぞ。と女カは自分の馬に跨った。

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