「はあ!?逃がしたって…嘘でしょ?!」
悟空と落ち合う地点で待っていれば、人質の姿はない。
話によれば散々騒がれ、進行が大分遅れた。
そこに救援部隊が追いついたのだ。
「お前がもうちょっと粘れば行けたんだよ!」
「私のせいだっての?私は十分足止めしたっての」
「〜〜っ、清盛のオッサンに報告行くぞ」
「お猿さん一人でどうぞ」
朔弥はイラついた様子で自分とそれに関わる者を城に瞬時に移動させた。
今回の戦は最悪だった。
自分と同じ名前の人間がなんだというのだ。
しかも妲己から貰った面を割られる始末。
この苛立ちをどうしたものか。
次にあの男に会ったらただではおかないと一人息巻いた。
「あ、朔弥ちゃんみーっけ!妲己ちゃん、朔弥ちゃんおったでー」
「本当ー?あ、朔弥ちゃん。探したんだから…ちょっと、どうしたのその怪我!!」
「…お猿さんの手伝いしたら酷い目にあっただけ」
「なんや、猿の仕業か!」
猿、どこやー!!!と悟空を探しに行く卑弥呼。
妲己は早く手当てしなくちゃ。と部下に手当ての準備を命じた。
「朔弥ちゃん、勝手に出ちゃ駄目じゃない。心配したのよ」
「ごめん、妲己」
「そういえば面は?」
「真田幸村とかいうやつに割られた、ごめん」
「顔、見られたの?」
こくんと頷く朔弥。
妲己は小さく「そう…」と答えた。
予定が狂ってしまったわ。妲己は内心少し焦ったが、この程度の狂いはすぐに修正できると問題の解決を決めた。
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