「うわーん、朔弥ちゃあん!ありがとう、ありがとうな!」
「本当、助かっちゃった朔弥ちゃん」
「俺も助けたんだけどっ」
「お猿は黙っときっ!」
ガバッと朔弥に抱きつく卑弥呼。
妲己は卑弥呼と共に朔弥に礼を言うが、朔弥と一緒に助けに来た悟空には無しだ。
それに腹を立てた悟空がチャチャを入れたら卑弥呼が噛みついたのだ。
「卑弥呼、一応助けてくれたんだからお礼くらいいいなよ」
「せやかて…」
「バチは当たらねぇよ」
「でも、朔弥ちゃんが来てくれたのはわかるけど…」
チラリと唸る悟空を見る妲己。
元々悟空は清盛の配下だ。
目的は同じとはいえ、清盛が自ら悟空を与えるとは思えない。
「私が頼んだんだよ、清盛に」
「え!?ちょっと…頼んだって…朔弥ちゃん!?」
「だって私だけじゃ助けられいと思ったし。それに悟空いたから十分逃げられたでしょ?」
「そうだ、俺はコイツに頼まれて行ってやったんだよ」
朔弥に抱きついたままの卑弥呼に悟空がちょっかいを出すが、卑弥呼は朔弥の言葉を聞いて黙りこくった。
卑弥呼は妲己に良く懐いていたが、朔弥にも同じように懐いている。
しかし清盛はどうも好きになれないのだ。
その配下である悟空も同様だ。
朔弥が頼んだと言うことで卑弥呼は小さく礼を言った。
「ああ?聞こえねぇなあ、おいコラ」
「あ、私からも一応だけどお礼は言うわ、ありがと。朔弥ちゃんが頼んでくれたんだから仕方ないわ」
どうも仲がよろしくない。
少なからず敵意識があるのだろう。
清盛派と妲己派だ。
朔弥にしてみたら目的が同じだから問題はない。
清盛もその事を感じ取って朔弥には妲己や卑弥呼とは少し違う対応をする。
だからこそ今回悟空を貸し与えたのだ。
二人の態度に朔弥が溜め息をついた。
「助けてもらったのにその態度はないでしょ…。悟空、ありがとね、あと二人の態度ごめん」
朔弥が礼を言うと悟空は自分の名前を呼ばれた事に驚き、妲己と卑弥呼は「朔弥ちゃんが頭下げることないわ」と悟空を睨みつけた。
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