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「妲己ー?あんまり遅いから迎えに来ちゃった」

「朔弥ちゃん…!」

「卑弥呼も無事ー?」

「ぶ、無事やで、朔弥ちゃーん!!良かったな、妲己ちゃん。朔弥ちゃんが援軍よこしてくれたで!!」

「ウキーッ!俺を無視するな!!それに俺の上に乗るんじゃねぇ!!!」


どこかの勢力に追われる妲己と卑弥呼。
妲己は卑弥呼を逃がそうと必死だが、卑弥呼も必死に妲己を助けようと逃げようとしない。
そこに朔弥が悟空を引き連れ援軍に来たのだ。
何故か朔弥は悟空の上に乗って。


「細かい事に煩いな、お猿さんは。いい?私は妲己達を追ってる勢力の後ろから攻撃するからお猿さんは妲己達の援護にまわって」

「一緒に行かねぇのか?」

「お猿さんが前衛部隊をかき回して、私が後ろからも攻めたら面白くなぁい?」


悟空の上に乗っている朔弥は悟空の顔を覗き込んで色っぽく笑うと、悟空もそいうことかと笑って頷いた。
要は妲己達を助ければいい。
それにせっかく戦場に来たのだ、楽しまなければ損だ。
朔弥がヒョイと身軽な悟空から降りた。


「さ、たっくさん遊んで帰ろ」


くるりと身を翻すと朔弥の姿を消した。




妲己を追撃していた部隊の後方に突如現れた朔弥。
敵の攪乱の為にきたので一人だ。


「…お嬢さん、朔弥さん、とおっしゃるんで?」

「そうだけど、なに?」


左近は内心狼狽した。
こちらでは不可解な事が多い。
なんせ、日の本の戦国と三国志の世界が融合しているのだ。
それだけでも手一杯だというのに以前倒したはずの遠呂智の影がちらつく、それに仙人まで出てきたのだ。
そして今目の前に見知った雑賀の朔弥と同じ名前の娘がいるのだ。
こちらに来てからは雑賀の二人にはあってはいない。


「いえね、知り合いに同じお名前のお嬢さんがいるもんで」

「ふぅん。で、それは今関係あるの?」

「まさか、と思っただけですよ」

「それじゃ、遊ぼっか。ね、オジサン」


狐を模した面で顔全体は把握出来ないが、きっと綺麗な顔をしているのだろう。
形のいい艶やかな唇が弧を描いた。

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