「…うっ」
「あら。目、覚めたぁ?」
いつの間に自分は寝てしまったのかと朔弥は覚醒したてのボンヤリと考えた。
それに手の自由が利かない。
身体も動かないばかりか、起き上がれないではないか。
唯一動く頭を動かし、降ってきた声の方を見上げた。
「気分はどう?」
「…誰?」
「私?私は妲己。よろしくね、朔弥ちゃん」
「なんで…私の名前…それに、どうして私、縛られてるの」
すると妲己と名乗った女は悪戯っぽく笑い、「だって暴れられたら困るしね」と朔弥の頭をポンポンと叩くように撫でた。
朔弥が意味が分からないというように妲己を見上げた。
「細かい事はいいの。みーんな私に任せてて、ね?」
「答えになってない。解放して」
「それは駄目よ。だぁって、朔弥ちゃんは私の大切な大ー切な」
玩具なんだから。
「………は?」
妲己は人差し指でコツンと朔弥の眉間を突いた。
すると不思議な程に目蓋が重く、それに抵抗出来ない。
「さ、私と一緒に遠呂智様を復活させましょうね。朔弥ちゃん?」
意識が遠退きながら妲己の声が朔弥の頭を支配していった。
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