「……よう」
「………ばか」
「…悪い、な」
「心配、した」
「……泣くなよ、女泣かす趣味はねえから、よぉ」
あれから数日、孫市の意識が戻り、朔弥に会わせてくれるとやっと連絡が来た。
それまで朔弥は常にウロウロし、食事もろくに取らないという状態。
これは流石に周りも心配し、「心配で不安なのはわかるが、それで朔弥まで倒れたら元も子もないだろう」と諭されたが、それでも朔弥は落ち着かなかった。
「孫市、死ななかった…」
「殺すなよ」
「…死んじゃうかと思った」
「死ぬか、バカ」
「そうだよ孫市。朔弥なんてもう心配し過ぎて朔弥が死んじゃうかと思ったよ、アタシは」
ポロポロと涙を流す朔弥の肩を抱くように現れたねね。
「泣かなくていいのよ」と慰める。
「もう、朔弥は孫市が大好きだねえ」
「だって…孫市死んだら、私どうしたらいいかわかんない…野垂れ死ぬ…」
「なんだ、そんな心配してたのかい?孫市が死んだらウチで面倒みてあげるよ」
「…おい、こら」
「ちょうど鉄砲隊が欲しいとこだったからちょうどいいねえ」
ニコニコと笑うねねに大粒の涙が止まらない朔弥。
小さく鼻をすする音が聞こえると、孫市はなんだか胃が縮むような、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
「ほうら、泣かないの」と顔をねねに拭われる朔弥は、とても幼くて。
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