「おー、久しぶりだな孫市」
「おう、久しぶりだなお前ら」
孫市が広間に来ると、孫市と一緒に来たねねは朔弥を連れ出した。
それを気にするでもない孫市は、ドカリと座り、茶を頼んだ。
ガラシャが朔弥の事を気にしていると孫市はそのうち戻るさ。と知ったようだ。
少し不思議そうにしていたガラシャであったが、今が好機と孫市に朔弥の事を聞き始めた。
それに孫市か若干ウンザリし始めた頃にガラシャには見知らぬ、孫市には久しい面々が現れたのだ。
「なんだ、朔弥だけじゃ飽きたらずに今度は幼女に手ぇ出したのか?」
「やめろよ慶次。幸村が本気にするだろ」
「幼子に手を出すとは不義だ!」
「だから違うって言ってんだろうが」
「孫、誰じゃ?」
自分を幼子や幼女と言う輩にガラシャはあからさまに嫌な顔をした。
何より面白くないのは自分だけまた置いてけぼりだからだ。
孫市は面倒くさそうに横から紹介していった。
そこには三成も左近も居、ガラシャの名前を聞くと二人は顔を見合わせた。
しかし、ねねも何も言わなかった事を孫市がそれとなく言ったので二人は黙って聞いている。
ただ、三成は不快感を隠そうとはしていない。
「孫市殿、朔弥殿はご一緒ではないのですか?」
「朔弥ならねねに拉致されたぞ」
「ら、拉致!?」
「朔弥はおなごになるのじゃ。きっと美人になるのじゃ」
その言葉に慶次と兼続と左近は笑い、幸村はガラシャにあわせて「そうでしたか」と物腰柔らかく答えた。
当のガラシャは何故笑われたかよくわからず、孫市を見た。
孫市は「みんな朔弥が女だって知ってる」と言ったら、またむくれてしまった。
「また、わらわは蚊帳の外じゃ…」
「そう怒るなよ、嬢ちゃん。朔弥とは嬢ちゃんより少しばかり付き合いが長いから仕方ないんだ」
ガラシャが不機嫌に菓子をつつき、孫市達は話に花を咲かせていると朔弥が現れた。
ガラシャの待ち望んだ、女の格好の朔弥だ。
男装とは違い、女性らしい線がよく分かる。
「みなさま、お久しぶりです」
みんなに挨拶をする朔弥。
そこにはガラシャの知らない女の朔弥。
その表情は男装の時とはまるで違う、柔らかい表情だ。
「〜〜〜朔弥っ!!」
急に朔弥に抱きつき、ガラシャはその胸に顔を埋めた。
その胸には大きな弾力はなかったが、とても優しいとガラシャは目を瞑った。
後ろで誰かが叫んでいるのなんて知らない。
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