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「朔弥、朔弥じゃないか!久しぶりだね、ああもう、またそんな格好して!孫市はなにしてるんだい!!」

「朔弥が男装してるのを俺のせいにするなよ、ねね」


孫市と朔弥の姿を見つけると、ねねは嬉しそうに駆け寄ってきた。
それを見たガラシャはビックリしたのか孫市の影に隠れた。
いつも元気なガラシャからは予想できない行動だ。


「のう、孫。朔弥は男装をしているのか?」

「あら、また可愛い子を連れちゃって。そうよ、朔弥は女の子なのに男の格好なんかしちゃって」

「女の格好したらそれなりに見えるのにな」

「孫市と一緒に傭兵するにはこっちの方がいいんです」


会話をする三人をよそに、ガラシャはピッタリと孫市の背中にくっ付きながら朔弥の顔を眺めている。
確かに朔弥はどちらとも取れる顔つきだ。
笑う顔は女そのもの、無愛想だと男だ。
ねねと会話する時の声は高い。


「孫市ー、随分その子に気に入られてるわねぇ」

「ガラシャは孫市大好きだもんね」

「あら、そうなの?」


隠れるガラシャにねねはしつこく顔を覗こうとしている。
ガラシャが観念したよいに顔を覗かせると、ねねは笑った。


「なにもしやしないよ、ガラシャ」

「ほら、挨拶しろよ」

「いつものガラシャらしくないよ」

「いいのいいの、これでも私とこの子顔見知りだから」


ね。とガラシャを見るねね。
すると小さく頷くガラシャが見えた。
人見知りなんてしないと思っていた子だが、そうではなかったようだ。
不思議に思ってガラシャを見る朔弥。
ガラシャはなんともバツが悪そうに孫市にくっついた。


「秀吉はどこだ、ねね。仕事の話がしたいんだが…」

「ああ、そうだったね、今案内するよ。朔弥、広間に待っててね」

「はい。ガラシャ一緒に行こう」

「孫と一緒じゃ駄目か?」

「俺は仕事の話しにいくんだよ、嬢ちゃんは朔弥と一緒に茶でも飲んでろ」

「…むぅ、仕方ないのう」


孫市から名残惜しそうにガラシャは離れると、朔弥の手を握った。

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