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変な女を拾った。
何が変かと聞かれたら、まずその格好だ。
いつも見慣れている女の格好じゃない。
だからといって男の格好をしていたわけでもない。
どこがどう変なのかと的を得て答えられないが、とにかく変だ。

身長は女にしては高めになるんだろう。
特に痩せているでもなく、太っているわけでもない。
俺の好みからしたらもう少し肉付きがよくてもいいくらいだ。
特に胸が。
女の胸は少々小さめだ。

顔はどうも中性的で、そのささやかな胸がなければ男にも見える。

しかし、コイツ…名前は朔弥だと名乗ったか。
朔弥はイマイチはっきりとた表情をださない。
いつも遠くを見てぼんやりしてる。
ひどい時には口を開けてぼんやりだ。

成り行きで朔弥を拾ったもんだから、面倒をみることになったんだが(自業自得…か)
まず着物が悪い意味で目立つ。
だから朔弥に俺の着物やった。
言っておくが、脱がせるためじゃ断じてない。
髪も結ってやれば肌が白くて弱々しいが、それなりに見える。

朔弥に何処から来たのかと、何気なく聞いた事がある。
ゆっくりと俺の顔をみて、いつもと同じ様に「孫市さんの知らない所じゃないかなぁ」と遠慮がちに笑った。
その表情が、どことなくそれ以上聞くなと言っていた。
ついでに朔弥は俺を「孫市さん」と呼ぶんだが、どうもむず痒くて仕方ない。

それにどうも生きる事に、戦うことに消極的だ。
雑賀衆の頭領の俺なんだが、囲うために朔弥を拾ったんじゃねえ。
だからと言って雑賀衆に入れようと思ったわけでもない。
流れだ、流れ。
朔弥に冗談で「俺の女になるのと兵になるの、どっちがいい」と聞いたら「孫市さんの好きな方でいいよ。でも、孫市さんの女になっても孫市さんを満足させられない。兵になっても無駄死にがいいところかなぁ…」となんとも滑稽な答えだ。

無駄死にされても俺の夢見が悪くなりそうだ。
生きるために銃を教えてみたら、飲み込みが早く、筋がすこぶるいい。
体力と腕力がないのと、血を嫌うのが難点だ。

ああ、本当なんでこんな全てに置いて中途半端な奴を拾ったんだか。



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