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「ガラシャなのじゃ」


よろしく頼むぞ、朔弥。
ニコニコと、それはもう可愛らしい女の子は元気に朔弥に挨拶をした。
ガラシャの元気に気圧されながらも「あ…ああ、よろしく」と朔弥も挨拶を返した。
これはいったいどうしたのかと、孫市を見るとうんざりとした顔をしていた。


「孫市、この子、どうしたの」

「ガラシャなのじゃ、朔弥」

「ああ、うん」

「…さっき絡まれてて、助けたんだよ」

「わらわと孫はダチなのじゃ。朔弥は孫とダチか?」

「だからって…連れてこなくても。これから戦なんだし」


ガラシャを無視しながら話す朔弥と孫市。
ガラシャは無視するなと怒るが、朔弥が適度に相槌を上手く打ってくれたので、満足したようすだ。


「ならば朔弥もわらわのダチじゃ!」

「うん、ありがとう。でもこの子連れて戦ってわけにいかないんじゃ…?」

「それがよぉ…」

「安心するのじゃ朔弥。孫にも話したが、わらわは武者修行中なのじゃ!」


自分の身は守れると胸を張るガラシャ。
朔弥にしてみたら、こんな小柄でフリフリな格好をしている女の子がここにいること自体心配でならない。
自分の様に男に間違われるならば少しはいいのだ。
戦場には気の荒い男共が集まる。
女とみれば手加減なしに襲われる可能性があるのだ。


「俺だって連れてくるつもりなんてなかったぜ?守備範囲外だしよお」

「そういう問題じゃない」

「ついてくるって聞かなくて…な」


朔弥が溜め息をつくと孫市は益々バツが悪そうした。
秀吉の元を出てから朔弥は孫市と共に様々な戦場に出た。
そこで朔弥確実に腕を上げたのだ。
本当の意味でも孫市の腕に並ぶ程に。
故に今まで孫市は朔弥と組んで仕事をこなしていた。
仕事に関しては孫市が決めている。
朔弥もそれに従う。
なので孫市の決める事に朔弥は特に異論はない。
しかし孫市はなんとも後ろめたい思いをしている。


「今回は俺が単体で仕事する。で、朔弥は嬢ちゃんと行動してくれ」

「なんじゃ、孫と別なのか?」

「…了解。ガラシャ、そういうことだから今回は宜しく」

「むぅ、仕方ないのぉ…よし、朔弥、わらわも頑張るのじゃ!」


あっさりと了承した朔弥。
しかもガラシャもあっさりと朔弥と一緒に行動することを了承。
それなら一緒にくると無理矢理ついてくるなよ孫市は頭を痛めた。

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