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怪我は熱が引く頃には大分良くなった。
暫くは傷痕が残るだろうが、時間がたてば気にならなくなるだろうと医者の言葉をもらった。

もう痛みも熱もないとなると寝ている必要はない。
だからといって馬を引き連れ散歩に出掛けようとするとねねに怒られてしまう。
仕方ないが部屋で大人しくしている他ないのだ。


「…暇なわけで」


誰も答えてはくれない。
朔弥の部屋には朔弥以外居ないのだから。
障子を開けて、廊下に出る。
朔弥の部屋の前は庭になっている。
座布団をだして、縁側に腰をかけて庭を眺めた。

孫市は秀吉と共に残党狩りに出てしまっている。
朔弥が意識を戻すてからは何かとちょくちょく顔を出してくれていた。
彼は彼なりに朔弥を気遣っていたのだろう。


「起きてもいいのか」

「…清正殿。はい、もう大丈夫です。あの、ありがとうございました」

「何の礼だ」

「先日の戦の事です。孫…お頭に聞きまして」


ああ、その事か。と清正は朔弥の隣に腰を下ろした。
孫市や左近、幸村に限らずこちらの男性陣は背も高ければガタイもいい。
ついでにいえば顔もいい。
現代にいたらモデルかタレント、俳優か。
正直男性が苦手だった朔弥も、こうも男性に囲まれた生活をしていると慣れてしまった。


「お手を煩わせてしまいまして、申し訳ありません」

「気にするな、おねね様に命じられただけだ。それに…」

「………?」

「お前はあの頭でっかちの三成を投げ飛ばした、言わば仲間だ」

「そ、それはもう言わないでください」


彼だけではない、朔弥を仲間と見るものは少なくない。
三成を投げ飛ばした、英雄だ。とまで言う者もいる。
朔弥がうなだれると、清正は不思議そうに朔弥を眺めた。

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