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天井がある。
息をする度に動く皮膚が痛む。
…そうだ、戦で。

そんな事をぼんやりと思っていると障子が開いた。
ぼんやりとそれを見ていると、それはねねだった。


「目が覚めたのかい、朔弥。ちっとお待ちよ、今医者を呼ぶからね!!」


相変わらず元気だ。
働かない頭でねねが走り去った障子を見つめた。
しばらくそのまま外を眺めていると騒々しい足音が聞こえてきた。
おねね様に怒られちゃうよ、廊下を走ったら。
そう思っていると孫市が飛び込み、その後ろに左近が顔を覗かせた。


「朔弥、目が覚めたんだな!どうだ、体の調子は」

「そんな大声だしたら朔弥殿の怪我に響きますよ、もう少しお静かに、ね」

「無事…だったん、ですね」

「ああ、なんとかな。お前、すっげぇ怪我でよぉ…意識なくなって」

「大変心配してらしたんですよ、孫市さん」


ねえ。と孫市の顔を覗きこむように朔弥の横になっている布団の隣に腰を下ろした。
孫市はなにやらふにゃふにゃとし始め、左近は苦笑い。


「ご気分はどうです?」

「…乾き、ま…」

「なんだ、水か?」


朔弥が力なく頷けば、孫市は今持ってきてやる。と朔弥の枕元にある水挿しがあるのに出て行ってしまった。
その姿を見た左近は笑いをこらえている。


「なんだか親の様ですね」

「……ですね」

「私で良ければ飲ませて差し上げますが」

「…願い、します」


左近に支えてもらいながら水を貰って口へ運ぶ朔弥。
傷が熱を持って痛むが、喉の乾きにはかえられない。
久しぶりに体内に入る液体は胃にしみる。


「朔弥、水…」

「あ」


孫市の目に映るのは左近に寄りかかる朔弥。
しまったと冷や汗の左近に固まる孫市。
そこに「おや孫市、きてたのかい?」とねねと医者がやってきた。
それからは二人とも邪魔だから出てお行きと固まる孫市と左近は放り出された。
そのすぐ後、孫市ににじり寄られる左近の姿が見られたとか。

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