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「どちらも物好きだと思いますが」

先の侵略戦で隣国の軍師、毛利元就殿を捕縛して直政殿は登用したのだ。応じる方も応じる方だが、登用する方も登用する方だ。
確かにここは武将らしい武将は少なく、防衛戦一手だった戦力も少なからず助かるのは事実だろう。傭兵の身なのでそれ以上に何かを言うつもりはないが、それにしてもモヤモヤとする一件である。関係がないといえば関係はないのだけれど。

「こっちで息子と対決するもの面白いかなと思ってね」
「ご子息殿に同情いたします」
「朔弥は小早川隆景と面識はあるのか」
「あまりお話をしたことはございませんが、少し」
「あれ?そうだったかな」
「はい」

お話されているのを横で聞いてきた位です。と言えば、「そうだったかな」と頭を傾げる。

「よう元就公、久しぶりだな。まさかこっちに来るとは思ってなかったぜ」
「やあ雑賀の頭領。よろしく頼むよ」
「おいおい、俺にいうなよ。同僚とはいえ、目の前に大名がいるんだからよ」
「挨拶は済んでいる。孫市も面識があるのか」
「朔弥関係でな。まだ朔弥が雑賀にいた頃に朔弥が欲しいって手紙寄越したんだよ」

そういえばそんなこともあったなと思い出す。
何をどう気に入ったのは知らないが、孫市がすっ飛んできたのには驚いた。政宗も笑っていたし、今となっては話のタネぐらいにはなる話だ。

「だって朔弥は飲みこみがいいから兵法を教えたくてね。いい軍師になると思うよし、戦場でも機転がきくようになれば戦がらくになるし収入も増えるよ」
「本当ですか?」
「おい、食いつくな朔弥。お前は鉄砲の腕で生きろよ」
「資格はいくつあっても困らない」
「しかく?」
「自分に有利になるモノだと思っていただけば」

今までうるさいとしか思っていなかった話だが、こう聞くと断然魅力的に聞こえてきた。
比較的無関心だったか、少し興味がわいているのを感じとったらしい孫市と直政殿が不思議そうに見ているが関係はない。
独り身で仕事をして、終われば次を探す人間にとっては悪い話ではないなと思い始めただけであり、報酬が増えて悪い事はない。

「朔弥、軍師に興味を持つことに関して俺がどうこう言う筋合いはないが、護衛の任はまたあると思え」
「はい」
「そうそう、朔弥を護衛にするのはもったいないよ本当に」
「まあその意見に関しては俺も同意見だな」
「どうしてだ、改めて理由を聞こう」
「朔弥の師であり雑賀として言うなら朔弥は目がいいし腕だっていい。ついでに接近戦は苦手で遠距離戦、言えば狙撃が得意だ。以上」
「そうだね、朔弥程の狙撃手をただの護衛っていうのも勿体ない話だよ」

どちらかと言えば孫市も毛利殿も狙撃手にしたい方の人間である。勿論狙撃の方が向いているのも、接近戦が苦手だ問うもの自覚がある。護衛任務は正直な所苦手ではあるが仕事なのだから仕方がない。
夜伽等でなければ基本的には断らない仕事姿勢なので護衛は許容範囲内だ。

「どのくらいの腕だ」
「そうだな、ここからむこうの木の上にとまる鳥くらいなら撃ち落とせるだろうな」
「そういえば狩りも上手だったよね」
「元就公、あんたは基本的に朔弥の使い方を間違えてるからな」
「肉は稼ぎが良かった」
「朔弥は黙ってろ」

俺はお前を狩人にさせるために仕込んだんじゃねえぞ。と言われてしまえば黙るほかない。

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